「嫌な感情《を解決するには
嫌な感情や未解決の問題から逃げ出したくなる夜ってありますよね。でも、いつまで
も解決から逃げ出して、過食、スマホ、お酒、ギャンブルなどに走ってしまうのは現
実逃避です。`
では、どうしたら「嫌な感情《を解決することができるのでしょう。今回は、抱えて
いる問題が家庭内のイライラ、具体的には「夫婦の家事育児の分担《だった場合の解
決法を考えます。
嫌な気持ちを押し込めていては解決につながりませんが、解決のためには相手との
「話し合い《が避けて通れません。話し合いが苦手、という方もいらっしゃるかもしれ
ませんが、実は、安全な話し合いにはコツがあります。
話し合いは説得でも論破でもありません。欲しい結果のために、円滑なコミュニケー
ションをとるのです。四つのステップをご紹介します。
まずは、自分の主張は横に置いて、相手から見た景色を客観的に描写します。「最近
仕事が忙しく、帰宅が遅くなっている《という感じです。
この時決して、「だから私の負担が増えている《と言ってはいけません。相手から見
えている風景と相手の気持ちを描写することで、わかってもらえたという安心感につな
がり、心が満たされ、相手の心に少しゆとりができるのです。
次に、話し合いの目的を相手に伝えます。対立したいわけではなく、「これからも、
うまくやっていきたい《ことをはっきりと伝えます。
その上で、自分の状況と気持ちを客観的に伝えます。「毎日仕事をハタハタと終わ
らせて、帰宅するなり家事に追われて、子育てもうまくいかなくて、すごくきついし、
孤独でつらい《などです。このとき、「あなたのせいで《などと攻撃する言葉を付け足
してはいけません。これまでの努力が水の泡です。
最後に、問題の解決にあたり、2人ができそうな具体的な提案をします。選択肢を二
つ示せるとよいですね。相手の意思を尋ねて、一緒に検討していくところも大事です。
いざ実践すると、最初のステップは修行のように大変です。慣れないうちにはついつ
い言い返したくなります。でも、欲しいゴールは相手との幸せな未来ということを胸に
刻んで、大切な誰かと話し合ってみてください。「嫌な感情《の解決につながれば、や
めたかった行動の解消にもきっとつながるでしょう。(臨床心理士・中島美鈴)
(出典:朝日新聞、2022/11/19)
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