【チーズの栄養 種類により大きな大きな違い】

この半世紀で日本人のチーズ消費量は大きく増え、ナチュラルチーズも身近になりました。チーズは種類により栄養成分が異なります。例えば カルシウム。最も高いパルメザンとカテージチーズでは、20倊以上の差があります。乳科学の専門家でチーズプロフェッショナル協会顧問の堂迫俊一さんに聞きました。

「チーズの栄養成分は製法との関係が大きいのです《と堂迫さん。チーズを作る際、加熱殺菌した乳に乳酸菌や酵素を加えて、しばらく置くと 茶わん蒸しのように固まります。これを凝乳といいます。この凝乳をカッティングして型に詰めながら、ホエイと呼ばれる水分を取り除きます。

カテージやクリームチーズは乳酸菌を入れ、それが十分に働き凝乳のpHが低くなってから(つまり酸性に傾いてから)型詰めをします。酸性 だと乳のカルシウム分が水に溶けやすく、ホエイと一緒にに残る分が少ないのです。

100㌘のクリームチーズに含まれるカルシウムは70㍉グラム、カテージは55㍉グラムで、牛乳の110㍉グラムをも下回っています。

一方、エメンタールやパルメザンなどはpHが高いうちに酵素も加えて凝固を進め、カッティングします。するとホエイに溶け込むカルシウム は少なく、チーズ自体に多く含まれることになります。

圧搾には、温度が40度以下でプレスする方法と加熱して行う方法があり、加熱圧搾すると、より水分が少なく硬いチーズに仕上がります。エメ ンタールやパルメザン、チェダー、エダムなどがこの種類。いわゆるハードタイプのチーズです。

「水分含有量が少ない分、栄養成分が豊富。少量で効率的に栄養補給ができるので、高齢者に適したチーズだと思います《と堂迫さんは言いま す。

なお、原料でみると、クリームチーズやマスカルポーネは生乳の脂肪分を調整し、増やしてから作るために高脂質。逆に脱脂乳を使うカテージは、100㌘あたり脂質はわずか4・5㌘です。 チーズを作るにはその10倊量の牛乳が必要と言われ、牛乳の栄養を凝縮しています。発酵や熟成でたんぱく質が体に吸収されやすい状態に分解されているのも特長です。こ うした全般的なチーズの特性に加えて、種類ごとの栄養面の違いも知っていると、チー ズ選びに役に立ちそうです。(編集委員・大村美香)


(出典:朝日新聞、2022/11/05)

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