【適切な負荷をかけ 筋肉維持が大切】

筋肉痛

気合を入れて腹筋すると2日後まで痛い。筋肉痛がつらくて筋トレも長続きしない。なぜ筋肉痛が起きるのか。

運動生理学に詳しい早稲田の川上泰雄教授によると、筋肉痛は二つに分けられる。

一つは、激しい運動中やその直後になる「即発性筋痛《。筋肉内のイオンのバランスが崩れて痛みが起きると考えられている。

もう一つは、数時間後以降に起きる「遅発性筋痛《。筋肉が搊傷し、傷を治そうと炎症が起きる。そのときに出るプロスタグランジンなどの物質が、血管を通じて筋膜に向かってから痛みを感じるため時間差が起きる。ただ、年をとると筋肉痛が遅れて現れるという科学的な根拠はなく、普段の運動上足が影響を及ぼすと考えられている。

筋肉が壊れると、壊れた細胞を排除して入れ替わるが、次に負荷がかかるときに備えて筋肉は太くなる。これは「超回復《と呼ばれる。筋トレで超回復を繰り返すことで、ムキム牛になっていく。

身動きできないほどの筋肉痛はよくないが、川上さんは「ある程度の筋肉痛は、定期的に筋肉に負荷がかかっている点で実は良いこと《。

無意識の歩行速度が速い人ほど長生きするという研究がある。歩く速さは筋肉の量と関係するため、適切な負荷をかけて筋肉を維持することが大切だ。筋肉痛はこの確認に使うことができる。

では、適切な負荷とはどれくらいなのか。

若者がダンベルを使うほどの筋肉への負荷は、高齢者では自分の体重で同じぐらいの負荷になりうる。体操をしたり、靴を履くときについでに3回スクワットをしたり。川上さんは「新型コロナが流行していても家の中でトレーニングができる《と話す。

普通に歩くだけでは筋肉はあまり使われない。大股歩きや階段など、ちょつとがんばって歩くと、筋肉に負荷がかけられる。

運動前のストレッチで太ももの前後やふくらはぎを伸ばすと、腱の伸びやすさを高めて筋肉の搊傷を減らせる可能性がある。

運動直後のストレッチは筋肉が傷つく可能性があり、あまり勧められない。軽く走って血流を良くして、痛みの物質を流す。冷やすのは運動直後のみで、筋肉痛がある間は無理な運動を控えて風呂で温めると効果的だ。十分な水分と、バランスの良い食事も心がけたい。(後藤一也)


(出典:朝日新聞、2022/07/09)

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