【草むらにご注意重い感染症にも】

ダニの季節

  農作業や散策など野山に入ることが増える春、忘れてはいけないのがダニ対策だ。場合によっては、命にかかわる病気になる恐れもある。

  何げない草むらに濳むダニのうち、人や動物にとりついて吸血するのがマダニ。舂から秋にかけて活発になる。長ければ10日以上吸い続け、数㍉の体が1㌢以上に膨らむこともある。その間にウイルスや細菌が人体に入る。

  マダニによる感染症で怖いのが「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)《だ。致死率は2割以上で、正式な特効薬はまだない。2013年に国内で初めて見つかり、昨年は最多の109人が感染した。

  高齢の患者が多く、発熱や嘔吐、意識障害や下血の症状が出る。これまでは西日本が中心だったが、昨年初めて愛知県や静岡県で感染が確認された。関東で過去に患者が出ていたことも判明している。

  ほかにも、北海道で死亡例が続く「ダニ媒介脳炎《や、40度近い高熱が出る「日本紅斑熱《のリスクがある。

  ダニの一種、ツツガムシにも気を付けたい。河川敷や草むらで幼虫にかまれると、40度近い熱や発疹が出る「ツツガムシ病《の恐れがある。

  まずはダニにかまれないことだ。北海道大の松野啓太講師(獣医学)は「かまれると。ウイルスや細菌が血中に直接入りこむため重症化しやすい《と注意を呼びかける。

  国立感染症研究所は、長袖に手袋、首にはタオルを巻き、ズボンの裾に靴下をかぶせるなど肌の露出を減らすことを勧める。虫よけ剤は、ティードやイカリジンという成分を含むものが効果的で、ズボンや靴に吹きかける。

  野山から戻ったら上着を脱いで室内に持ち込まない。かまれていても気づきづらいので早めに入浴し、わきの下などやわらかい部分にくっついていないか調べる。

  もしダニを見つけたら、なるべく皮膚科などで取ってもらう。ダニの体液が逆流したり、口の一部が残って化膿したりする恐れがあるからだ。ピンセットで真上に引き抜くなどのコツが要る。

  病原体を持っていないダニもいるが、潜伏期間が長い病気が多く、数週間は発熱などに気をつける。異常時はすぐ医療機関に相談し、ダニにかまれたと伝えたい。

  感染研の前田健・獣医科学部長は「ダニにかまれれば重症になる可能性があることを思い出し、しばらくは気をつけてほしい《と呼びかける。(竹野内崇宏)


(出典:朝日新聞、2022/4/09)

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