【コロナ禍でもためらわず受診】

胸の痛み

胸のあたりが締めつけられるように感じたが、すぐにおさまっだ。もしや心臓病?と疑っても、新型コロナウイルス感染症が流行するなか、受診をためらう人も少なくないだろう。どうすればよいのか。

「胸の痛みは放っておかず、受診してください《と大阪市立大の山崎貴紀講師(循環器内科)は話す。突然死につながりかねない兆候かもしれないからだ。

突然起こる胸のあたりの激しい重苦しさや圧迫感に加え、息苦しさ、吐き気、冷や汗や脂汗を伴う症状なら、「心筋梗塞《を疑って救急車を呼ぶ。心筋梗塞は、心臓に酸素と栄養を運ぶ冠動脈という血管がつまった状態だ。

つまるまでいかず、冠動脈が狭まった状態が「狭心症《。典型的な症状は、運動した時の胸のあたりの重苦しさや圧迫感を伴う痛みだ。人によっては、あごや奥歯が痛い、肩や腕が重いと感じる人もいる。運動時や、興奮した時に起こることもある。

休んで痛みがおさまったとしても、受診が勧められる。とくに前より軽い運動でも胸が痛くなる、痛みが続く時間が2分から5分10分と長くなる、前より痛みが強くなった、安静にしていても痛い、などの場合は「すぐ受診。場合によっては救急車の要請を《と山崎さん。「急性冠症侯群(ACS)《の恐れがあるからだという。

ACSの原因は、冠動脈の血管の壁にできたプラークと呼ばれるこぶで、中におかゆ状の脂質がたまっている。プラークを覆う膜が破れると、血小板などの血を固める成分が集まって血栓ができる。狭心症のなかでも心筋梗塞につながりやすい「上安定狭心症《や、心筋梗塞をまねく。

「だんだん血管が狭くなって心筋梗塞に至るよりも、突然プラークが破れ、急に血なって心筋梗塞を起こすことが多い。一刻も早い治療が必要だ《



では、どんな予防法があるだろうか。

高血圧・循環器病予防療養指導士の樺山舞・大阪大教授(保健学)は定期的な健診を勧める。心臓病のリスクを高める、肥満、高血圧、糖尿病、脂質異常症などを早く見つけて改善するためだ。「健康を守るには、自分の健康状態に関心をもつことが何より大切《。健診日だけでなく毎日、体重と血圧を測り記録すると予防に効果的だ。

肥満を防いで適切な体重を維持するためには、食べ過ぎに気をつけ、たんぱく質、野菜や果物などもバランスよく食べる。お酒を飲む人は飲み過ぎ、つまみの食べすぎに注意する。アルコールの適量は日本酒1合(女性はその2分の1から3分の2)が目安で、週に2回は飲まない日をつくる。

禁煙もリスクを下げる。太ると気にする人もいるが、一時的に太って病気になるリスクが上がるとしても、禁煙の下げる効果のほうが上回ることが多いという。

運動は、20~30分の散歩がおすすめだ。大きく手を振る、少し速く歩くなどで、汗ばむくらいをめざす。軽い筋トレを組み合わせるといい。ただし、冬の朝は気温が低く、外に出ると血圧が急に上がりACSのきっかけになりかねないので注意する。

急に血圧が上がる場としては、入浴前の寒い脱衣場もあげられる。熱い湯でさらに血圧が上がることがあるので、脱衣場を暖かくするなどの工夫が必要だ。

「テレワークで寝る直前まで仕事をして、寝つかれないという人もいる。眠くても朝ちゃんと起きて、光を浴び、生活リズムを整える。昼間は動いて、自分なりのストレス発散法を見つけ、十分な睡眠をとることも心かけてほしい《。樺山さんは、こうアドバイスする。(瀬川茂子)


(出典:朝日新聞、2022/02/19)

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