【最も長生きな種目はテニス?】

スポーツと健康

スポーツは、健康に長生きするためのひけつだ。たくさんあるスポーツの中で、最も長生きに関係がある種目はいったい何だろうか。最近の研究によれば、その有力な候補だと考えられるのがテニスだ。

様々な研究によって、定期的な運動と健康、長寿の関係が確かめられている。スポーツ基本法にも、スポーツについて「健康で活力に満ちた長寿社会の実現に上可欠である《と記されている。

テニスと健康寿命の関係を示す興味深いデータがある。

デンマークと米国の研究チームは、20代から90代の男女計8577人について、1991年から2017年まで25年にわたって追跡調査し、結果を2018年に発表し た。

研究チームは、スポーツをする習慣がない人と、テニスやサッカーなど8種のスポーツをする人を比べた。

25年の調査期間に4448人が亡くなった。年齢や性別、喫煙の影響などの補正をかけても、スポーツをする人はみな平均余命が長かった。

最も長かった種目はテニスで9・7年だ。次いでバドミントンの6・2年、サッカー4・7年、サイクリング3・7年、スイミング3・4年、ジョギング3・2年、体操3・1年。ジムでのエクササイズは1・5年だった。

なぜテニスをしている人は長生きなのか。はっきりした理由はわからないが、研究チームはスポーツにともなう「社会的相互作用《が重要なのではないか、と指摘している。

テニスは一人ではできないスポーツだ。テニス仲間と会話し、社会的なつながりを持つことが肉体的、精神的によい効果をもたらす可能性がある。

また、テニスやバドミントンはプロ選手であれば運動量は多いが、ダブルスだと、プレーヤーがコートを走り回ることが比較的少なく、体への負担がそれほど大きくないため、高齢者でも参加できる。

日本テニス協会医事委員長で、国際テニス連盟の医事委員を務める医師、別府諸兄さんは「激しいジョギングをする人と、運動しない人は統計的には死亡率が一緒だった。テニスのダブルスのように、中程度の運動のほうが長生きにつながる可能性があります《と言う。

デンマークの研究はヨーロッパ系の人たちが対象だが、別府さんたちは、日本人も調べている。都内の60~80代のテニス愛好家と、運動習慣のない人それぞれ40人ずつについて、骨格筋や下肢の筋肉を比べてみた。研究参加者のひざの関節を90度に固定した状態で、ひざを伸ばす筋力を測定したり、超音波で筋肉の量を調べたりした。

すると、週に2、3回テニスをする人たちは、運動習慣のない人に比べて筋肉の質が高く、筋量が多いことがわかった。

健康に深く関わるテニスだが、最近は国内のテニス人口が減りつつある。

日本テニス協会の調査によれば、1年に1回以上、硬式テニスをした10歳以上の男女は17、18年時点で推定約343万人に上る。

ただ、12年の調査に比べ約30万人減っている。さらに、最近は新型コロナウイルスの影響もあり、民間テニスコートは経営が厳しいところが多い。

別府さんは「テニスは生涯を通じて参加できる機会があり、健康によいスポーツだ。長く続けられるよう、テニスコートを維持できるように国や自治体も力を入れてほしい《と話している。(小堀龍之)


(出典:朝日新聞、2022/02/12)

戻る