【自分に合う保湿剤で乾燥防げ】

冬の手荒れ

冬まっただ中。手荒れが気になる季節だ。ひび割れたり、赤くなったり、かゆみが出たり。放置するとアレルギーを発症するおそれがあるようだ。

拡大鏡を右手に持ち、左手の甲や手のひらを映し出すと、肌が白っぽくカサカサしているのが見えた。「白い粉がふいているような状態になっていませんか? それは手荒れです《と藤田医科大の松永佳世子教授(皮膚科学、アレルギー学)。拡大鏡がなくても、スマホで撮影して拡大することで皮膚の様子を見ることができる。

手荒れは皮膚の表面にある「角層《のバリアー機能が低下して起きる。冬に起きる主な原因は乾燥だ。「9月の終わり、10月ごろから手荒れが始まってきます《と松永さん。寒くなって手足が冷たくなる。汗をかかなくなって皮膚が乾く。湿度の低下もあり、皮膚にはよくない環境がつくられる。このような冬に多くなる手荒れは「乾燥・亀裂型手湿疹《と呼ばれる。

加齢によっても起こりやすくなる。女性では40代、男性では50代ごろから皮膚が乾燥しやすくなる。このころから新しい皮膚の細胞はでき方が遅くなり、角層が薄くなる。その分、水分を保つ力やバリアー機能が下かっていくという。

乾燥すると何が起きるのか。

乾いた皮膚に力がかかって割れ、ひびができる。ひびが深いと出血に至る。そこに洗剤などが入って炎症が起きる。赤くなって痛みやかゆみが出るのがあかぎれだ。

「泥のついたレンコンやゴボウを素手で洗うと、すぐに手荒れになりますよ《と松永さん。皿洗いや洗濯物干しなど、ぬれたものに触れつつ摩擦が起きる行為が角層のバリアーに負担をかけるという。

どうすれば手の乾燥を防げるか。

真冬に加湿器を使って夏のような湿度にするのは困難だ。しかも、新型コロナウイルスの感染防止対策として換気が奨励されている昨今。むしろ、保湿剤を活用して手の乾燥を防ぐ方法が手っ取り早い。

保湿剤のタイプは、水分や油分の含有量によって4種類に分かれる。

塗り方にはコツがある。手のひらに保湿剤をとる。それぞれの指先につけ、手のひらをすりあわせてのばす。指も1本ずつをもう片方の手で握り、握った手をまわして指全体に塗るい手の甲、指と指の間、手首はもちろん、爪のまわりも忘れずに。つけていない部分がないよう、まんべんなく。この塗り方は、新型コロナの感染対策でアルコール消毒をする時にも応用できる。

松永さんが強調するのは、保湿剤のつけ心地だ。「塗って3分くらいたった後、使用感がよいかどうか。何度も塗ることを前提に、気に入ったものを選んでください《。自分に合った保湿剤の選び方や塗り方について、薬局にいる薬剤師に相談してみるとよいという。

また、ひび割れやあかぎれを放置するとより深刻な問題を引き起こす可能性があるという。「野菜の汁や山芋、洗剤、シャンプーなどによる皮膚への刺激が繰り返されると、手荒れが治りにくくなるので、手袋で保護することも大切です。手荒れがあると、皮膚から繰り返し入ってくる食物のたんぱく質が原因で食物アレルギーが起きたりすることがあるので、保湿のスキンケアが大事《と言う。

松永さんは、保湿剤を2週間ほど使ってもよくならない場合は皮膚科の受診を勧める。「自分が手荒れだということに気づいていない人もいます。今あるバリアー機能を守りつつ、ケアしていってください《と話す。(木村俊介)


(出典:朝日新聞、2022/02/05)

戻る