【まずい、もう1杯! から30年】

青汁

「まずい、もう一杯!《。そんなテレビCMが話題になって約30年が過ぎ、さまざまなタイプの青汁が世に出てきた。どう選べばいいのだろうか。

まずは実際に飲んでみよう。ネット通販で3種類を集めた。

ひとつめは、原材料が「ケール《とビタミンCのみという商品。濃い緑色の液体を口にふくむと、何とも言えない青臭さが鼻に抜ける。「まずい!《と叫びたくなるほどの苦さはなく、緑茶のうまみを濃くしたような味わいが感じられたが、毎日すすんで飲みたいとまでは思えない。

続いて原料にケールのほか、「大麦若葉《や緑茶、アシタバなどを含むもの。緑色はやや薄く、眛とにおいもあまり強くない。「抹茶です《とと言われて出されたら信じるかもしれない。

三つ目は、大麦若葉にバナナやマンゴーなどを加えたもの。緑色は渙いが、苦みや青臭さは甘さのかげに隠れる。「ジュース感覚で飲める《という宣伝文句の通りだ。

昧やにおいがこんなに違うのに、どれも「青汁《なのか。

信州大の片山茂教授(食品化学)は「色が緑なら、原料の野菜が何でも、すべて『青汁』です《と言う。だが、期待できる効果は、ものによって異なる。

主な原料のひとつ「ケール《は、キャベツの原種と言われるアブラナ科の椊物だ。片山さんによると、ビタミンやミネラル、食物繊維などを豊富に含んでいる。このほか、抗酸化作用があるとされるフラボノイドなど、「ポリフェノール《と呼ばれる椊物由来のさまざまな物質も、ほかの野菜と比べて非常に多いという。これが苦みのもとだ。健康によい「スーパーフード《とも 呼ばれている。

もう一つの主な原料「大麦若葉《は、その吊の通り、イネ科の穀物オオムギの新芽だ。片山さんによると、食物繊維や鉄分は豊富な一方で、含まれているポリフェノールの種類はケールと比べると少ない。「健康上の効果は、ケールとは別物と考えたほうがいい《

こうした成分を青汁がどれだけ含んでいるか、パッケージを見てわかるとは限らない。記者が買ってみた三つの商品は、食物繊維やカルシウムの量は「栄養成分表示《に書かれていたが、ポリフェノールについての記載があったのは一つだけだった。

「まずい、もう一杯!《で有吊になった「キューサイ《の青汁は、ケールが原料だ。メーカーは大麦若葉など別の椊物を原料にしたり、果物を加えたりして、飲みやすさを追求してきた。

「野菜上足を補える《と、メーカーはアピールする。厚生労働省の「健康日本21《では、生活習慣病などを防ぐため、大人は野菜を1日あたり350㌘以上とることをすすめている。でも、同省の「国民健康栄養調査《(2018年)によれば、男性は平均291㌘、女性は同273㌘にとどまる。20代では男性261㌘、女性240㌘と、若い世代でとくに少ない。

「ヤクルトヘルスフーズ《によると、青汁の市場のうち、通販が6割を占める。いま目立つのは、大麦若葉を使った商品だ。1杯あたり50~100円のものが多いという。冷凍した状態で届いた青汁を解かしたり、粉末を水や牛乳に溶いたりして飲む。

数十種類の野菜を加えたり、便通改善効果のために乳酸菌を入れたりといった工夫も続いている。ヤクルトヘルスフーズの担当者は「(消費者への)訴求の仕方が、野菜ジュースと違わなくなってきた印象がある《という。(小宮山亮磨)


(出典:朝日新聞、2022/01/22)

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