【マスクで衰え?顔トレで解消も】

表情筋を鍛える

新型コロナウイルスの感染拡大により、マスクが手放せなくなってもうすぐ2年。ふとマスクを取ったとき、鏡に映った自分の顔に「あれ……《と感じた人はいませんか? それは、マスクの下に隠れた表情筋の衰えによるトラブルかもしれません。見えづらくなった「口周り《の健康を保つため、心がけたいポイントを専門家に聞きました。

「マスクかずれることを気にして思い切り笑うことを避けたり、他の人との会話が少なくなったり……。コロナと付き合う生活をきっかけに、口もと周りの運動量が減ってしまうケースが多い《

こう話すのは、日頃からの「口もとケア《の重要性を発信し、「口もと美容スペシャリスト《として活動する歯科医師の石井さとこさん(60)。職業柄、コロナ禍の前から日常的に「マスク生活《だったため、以前から「長時間マスクをしていると、顔つきが変わってしまう《「口臭が気になる《など、マスクをつけ続けることのデメリットを感じていた。

今回、多くの人にとってもマスク姿が「日常《となったことから、日頃から取り組んでいたケア方法をまとめ、昨年11月に「マスクしたまま30秒!! マスク老け撃退顔トレ《(集英社)を発売。ユニークな方法が話題になっている。

石井さんによると、顔には大小併せて30以上の筋肉があり、口もとには7割が集中している。そのため、口もとを動かす機会が減って口周りの筋肉が衰えると、顔の印象の変化に直結するという。特に、「口角が下がった《「たるみが目立つようになった《「ほうれい線が深くなった《などという状態につながることが多いそうだ。

こうした状況を改善するため、石井さんは舌をゆっくり、大きく動かすことを基本にした「顔トレ(顔トレーニング)《を考案。口の中で舌を動かすことで、表情筋が刺激できる。もともと、日本語は表情筋をあまり使わない言語と言われていることから、「『顔トレ』を日常に取り入れ、表情筋を動かす習慣をつけてほしい《という。

石井さんが「最初の一歩《として勧めるのは、口角の少し上、ほうれい線の延長線上にある「モダイオラス(口角結節)《と呼ばれる部分に、舌を上下に押し当てるようにして刺激することだ。モダイオラスは、表情筋の多くが集まる部分で、刺激することで筋肉が柔らかくなり、表情筋も動かしやすくなる。回数の目安は左右10回。テレビを見るときや移動中など、気付いた時に少しずつやるといい。さらに、10秒ほどかけて目の中でゆっくりと舌を回したり、口笛を吹くような動きをしてみたりすることも、表情筋の働きを促すのに有効という。「表情筋が動くようになると、口もと周りの血流がよくなって、唇の色も明るく見えます《

顔トレに役立つ雑貨などの商品も人気を集めている。生活雑貨を取り扱う渋谷ロフトでは、マスク生活で「しわが深くなった《などの客からの声を受け、スキンケア用品やトレーニンググッズの品ぞろえを拡充。昨年同期と比べ、全国の店舗での売り上げは2倊以上に伸びている。

あごやほうれい線のあたりに貼るフェイスマスクのほか、表情筋をほぐすローラー、電気刺激を与えて顔の筋肉を鍛える機器などが人気。広報担当の高橋祐衣さんは「自宅にいる時間が長くなり、トレーニングやケアをしてみようという人が増えている。ビデオ会議の画面に映る自分の顔を見て驚いたという男性も多い《と話す。(中井なつみ)


(出典:朝日新聞、2021/10/30)

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