【明かり 選んで心地よく】

照明を見直す

コロナ禍で自宅で過ごす時間が増え、「家の明かりが気になる《という人も多いのでは。暗いと気持ちが沈んでしまうし、明るすぎてもまぶしい。

「照明のことがわかる本《(日本実業出版社)などの著書がある照明デザイナーの中島龍興さんは「照明には大きく三つの役割があり、暮らし方や部屋の使い方によって優先順位を考えるとよい《と助言する。

一つ目は安全や防犯のため(階段や玄関など)、二つ目は仕事や勉強など、目を使った作業に必要な明るさを得るため(子ども部屋やキッチンなど)、三つ目がリラックスしたり、快活な気分になったりする雰囲気づくりのため(寝室やリビングなど)だ。

では具体的にどうすればいいか。たとえば、照らし方にもさまざまあり、「直接照明《は、光を直接作業面や床面にあてる方法で、食事シーンや目を使った作業に適している。「全般照明《は天井に取り付けた乳白カバーつきのシーリングライトが代表的な例で、部屋全体を明るくする。「間接照明《は、いったん天井や壁に光を反射させてその反射光で空間を明るく見せる。光源を直接見せないのでまぶしくなく、柔らかい光になる。

光の色合いもポイントだ。明るい昼間の自然光と似た白い光は、部分照明より全般照明に向く。オレンジ色の暖かい光は全般照明、部分照明のいずれにも向くが、部分照明を目線より下に置くと暖炉の炎のようになり、リラックスできる。

家の照明は、こうした点を念頭に置いて選ぶとよい。たとえば在宅勤務が増え、自宅にワークスペースを設ける人も多いだろう。中島さんは「机上に十分な明るさが必要だが、その明るさは部屋の明るさに対し3倊程度だと疲れにくい《と話す。ただ、普通の家庭では照度計がないので、自分で目が疲れないと思うコントラストを調整するのが近道だ。パソコンを使う場合、照明はモニターにあてず、キーボードや机上を照らすようにする。光の色合いは好みでよいが、夜は入眠をスムーズにするためオレンジ色がおすすめだ。

一方、寝室は寝る前にリラックスできるよう暗めで暖かい色の光に。白い光のシーリングライトの明るさをただ落とすより安らげる。「近年は、光の色と明るさをリモコンなどで調整できるシーリングライトも多い。一般的には大がかりな配線工事も上要なので、試してみては《と中島さん。

「マンションや建売住宅では備え付けの照明のままという人も少なくないと思いますが、スタンド器具を加えるなど少し工夫をするだけで快適度は上がります《と話す。

照明器具を替える場合、おすすめは寿命と省エネなどの面で優れているLEDだ。LEDの普及を推進する日本照明工業会の資料によると、製品や使用条件にもよるが、電球形LEDランプの消費電力は一般電球より約86%減。寿命も、電球形蛍光ランプに比べ、6・7倊長いという。

環境省が1日5~6時間点灯するという条件で、8畳用の蛍光灯とLEDシーリングライトにかかる費用(購入価格と電気代の合計)を試算すると、購入価格2135円の蛍光灯は約3年ごとに交換が必要で、初回購入価格8723円だったLED(器具代含む)と費用が逆転。約10年後を比べるとLEDが1万8177円お得だった。

国内のすべての照明がLEDに置き換わると照明にかかる消費電力は50%削減できるという。同工業会は「交換時に工事が必要なケースもあるので、電器店で相談を《としている。 (小林未来)



(出典:朝日新聞、2021/09/25)

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