【理想の味わいに「黄金ルール《】

紅茶

新型コロナウイルスの感染拡大が続き、家にいる時間が長くなった。自宅で紅茶でも楽しめたらと思ったが、どんな入れ方で、どんな産地のものを選べば良いのかわからない。詳しい人に聞いてみた。

どんな入れ方が良いのか。日本紅茶協会の田中哲・常務理事に聞くと、基本となる「ゴールデンールール《があるという。①沸騰したお湯でポットやカップを温める→②1杯2~3㌘を目安に茶葉を入れる→③1杯151~160㍉リットルを目安に沸騰したてのお湯をそそぎ、フタをして蒸らす→④時間をはかって待つ。

「大事なのは温度を下げないこと《と田中さんは強調する。紅茶の色と味(渋み)の主成分であるポリフェノールや香りの成分は高い温度でよく抽出される。できるだけお湯を冷まさないことで、きれいな水色(紅茶の色)や豊かな香り、ほどよい渋みを味わえるという。自宅などではティーバッグで、Iカップ単位で紅茶を入れることが一般的。その場合も、お皿でフタをするなど温度が下がらない工夫をすると良い。

④の時間は、茶葉の「等級《に左右される。紅茶の場合、品質の善しあしではなく、茶葉の形状や大きさを表す。大きい茶葉の「オレンジ・ペコー《から小さい「ダスト《まで7段階。大きい茶葉で3~4分、細かい茶葉で2分半~3分か目安。ティーバッグの場合は、短時間でしっかりした味わいが抽出できる「CTC製法《で加工された茶葉も多い。

パッケージなどに表示されている時間でまずは入れてみる。慣れてきたら、例えばミルクティーで飲むために、抽出時間を長めにして濃くするなど、好みに合わせてアレンジする楽しみもある。

産地ごとにはどんな違いがあるのか。日本の紅茶の輸入量は昨年が1万5千㌧。スリランカが5700㌧で最も多く、インド、ケニア、インドネシアと続き、この4力国で90%以上を占める。

スリランカ産の「セイロン紅茶《は全般的に色、味、香りのバランスがとれた紅茶と言われる。日本では標高の高いウバやデンブラといった産地が有吊。近年はルフナなど標高の低い産地の人気が世界的に高まり、生産量が多くなっているという。

ブラマプトラ川流域のアッサム地方はインド最大の紅茶の産地。ここで取れる紅茶はミルクに合う濃厚な味わいと香り。同じく北インドのダージリン地方は、ネパールとの国境に近いヒマラヤ山麓の地域。80あまりの茶園でとれた紅茶のみが「ダージリン《を吊乗ることができ、優れた香りから「紅茶のシャンパン《とも呼ばれる。南インドのニルギリ産は、セイロン紅茶に似てバランスが良い。アフリカのケニア産は主にティーバッグに使われているという。

田中さんは、「いろいろと試して、自分の好みの産地やブレンドをぜひ見つけてほしい《。紅茶専門店などでは、特定の茶園の茶葉のみを使う「シングルオリジン《の紅茶も楽しめるといい、奥が深い。

コロナ禍は紅茶業界にも影響があった。世界的にロックダウン(都市封鎖)などの影響で昨年前半まで一時的に生産量が減り、流通に制約が出るなどして調達や輸送にかかるコストが増えた。日本では、いわゆる「巣ごもり需要《で家庭用の紅茶の消費量が1割ほど増えたという。ペットボトル紅茶も半分ほどを占めるというが、田中さんは「茶葉とポットで入れる紅茶は、ひと手間かける分、香りも色も楽しめて、リラックス効果も抜群。在宅ワークの合間などで楽しんでもらいたい《と話した。(野口憲太)


(出典:朝日新聞、2021/09/18)

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