【軽めの運動を楽しく習慣化】

グラウンドゴルフ

宮崎県に住む記者の母親(76)が健康のためにと15年ほど前に始めたグラウンドゴルフ。決して運動が得意ではないのだが、楽しく続けているという。どんなスポーツな んだろうか。

8月18日午前、1週間ぶりの夏空となった千葉県茂原市の運動公園を訪ねた。プレーしていたのは千葉県が高齢者を対象とした「生涯大学校外房学園《(同市)の在校生や卒業生でつくるグラウンドゴルフ部のメンバー39人。約4割の16人が女性だ。

部の練習は週2回あるが、この日は月1回の試合形式。15~50㍍コースを男女3~4人の組み合わせでIラウンド8ホール、4ラウンドの合計を競う。スコアは自分で記入する。

屋外競技とはいえコロナ禍でもあり、参加者は感染防止対策として2㍍間隔、マスクは常に着用。プレー中も淡々とこなすが、ホールインワンでホールポストに「カーン《とあたると「おーっ《と喜びの声があがる。

専用クラブでボールを打つ。ボールはゴルフのように浮き上がらず、バウンドしながら転かっていく。選手はボールが止まった場所にコイン程度の大きさのマーカーを置きに行く。小走りで行く様子が目立つ。

メンバーで県グラウンド・ゴルフ協会事務局長の上野健士さん(79)は「打つときに頭を使い、打つと無意識に小走りになり、マーカーをしゃがんで置いたり取ったりする。スコアも計算が必要。実は、多くの運動や認知症予防につながることを楽しみながらしているんです《と話す。Iラウンドは30分ほどで、5分ほどの休憩を取りながらプレーをしていた。

夫婦で参加していた平山義信さん(85)とあきさん(81)は約20年前に生涯大学校に入り、授業を通じてグラウンドゴルフを知った。以来、夫婦で続けている。当時、あき さんは胃がんで胃を全部摘出した後だった。「大病を患い、しかも運動音痴の私かこんなに長く続けられ、健康でいられるとは思いもしなかった《と話す。

目白大学の佐藤広之教授(リハビリテーション医学)らは2015年、グラウンドゴルフの愛好者と同年代の一般高齢者の計525人を調査。「立つ《「歩く《といった動きを測定し、要介護になる危険性が高まるロコモティブシンドローム(運動器症候群、通称・ロコモ)を評価した。愛好者は要介護になるリスクが40%以上も低かった。歩幅も大きかったという。

佐藤さんは「軽めの運動を短時間で習慣的にでき、健康を維持できる《とグラウンドゴルフの利点を挙げる。コロナ禍で高齢者の運動上足が懸念される中、「密にならずにプレーでき、人と接する機会にもなる。愛好者は心と体の上安感が少ないという調査結果も出ている《と話す。初心者がホールインワンで逆転勝利するといった取り組みやすさや楽しさもあるという。

静岡理工科大学の富田寿人教授(運動生理学)の研究では、経験者が2ラウンドを回ったときの平均エネルギー消費量は217㌔カロリーで、これはウォーキングー時間分に相当するという。また、高齢者約5万7千人を6年間追跡した大規模調査で、千葉大が趣味の種類と認知症の関連を分析。男女に共通して認知症予防に効果が期待されるとされたのがグラウンドゴルフと旅行だった。グラウンドゴルフをする人とそれらが趣味ではない人と比べ、認知症のリスクが男女とも20%低かったという。

体の負担なく、長く楽しめる━━母親がグラウンドゴルフを続けている間は健康無事でいられそうだ。(石塚広志)



(出典:朝日新聞、2021/09/04)

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