【湿度が重要暑さ指数参考に】

コロナ禍の熱中症

7月に入ると本格的な夏がやってくる。このところ、毎年のように各地で観測史上最高の暑さを記録したというニュースを聞く。本当に今年が1番暑い夏なのかはともかく、今は新型コロナウイルスの流行でまだマスクは手放せそうにない。熱中症対策はどうすればいいのだろう。

本当に近年暑くなっているのか、まずは気象庁のデータで確認してみた。今から140年前の1881年8月、東京の最高気温の平均は何度だろうか。

答えは31度。前後の年の8月と比べると、この年は少し高かったようだ。1920年ごろまで、8月の最高気温の平均が30度になることは少なかったが、その後は30度を超える年がだんだん増え、2000年以降は記録的な冷夏だった03年以外は30度超えが続き、20年は34・1度に達し、記録上は暑くなっているようだ。今と140年前のデータを単純に比べることについて、「1日あたりの観測回数は違うが、専門的に解析しない限りは比べても問題ない《(気象庁の担当者)という。この近年の猛暑で、「熱中症《という言葉は広く知られるようになった。

熱中症の基準は、気温だけでは決まらない。国は「暑さ指数(WBGT)《を取り入れている。最高気温が同じでも、湿度が高い日のほうが救急搬送される人は多い。暑さ指数は気温や湿度、周囲の熱環境を考慮した指標で、28以上になると熱中症で搬送される人が増え、31以上だと運動は原則中止だ。

今年4月、「熱中症警戒アラート《が全国で始まった。熱中症の危険が高いと予想される日の前日夕方や当日朝に発表される。この指標を参考にして、昼間の外出をするかを判断するといい。

熱中症にならないためには、1日あたり1・2㍑の水分をとり、早めに冷房を使う。暑くなり始めの時期から適度に運動をして暑さに備えることもおすすめだ。

新型コロナのワクチン接種は広く打ち終えるまで時間がかかるので、マスクはまだ欠かせない。埼玉県が昨年8月、30歳前後の男性がマスクをしたまま運動をする実験をしたところ、マスクの有無で心拍には大きな差がなかったが、マスク部分の表面温度は顔の他の部分より3度高くなって、参加者は明らかに上快と感じたという。環境省などは、屋外で他の人と2が以上離れている場合は、マスクをはずすことを推奨している。

熱中症にかかったとき、救急車を呼ぶ基準にも気をつけたい。総務省消防庁の統計によると、6~9月の熱中症による全国の救急搬送者は18年は約9万3千人、19年は約6万7千人、20年は約6万5千人。厚生労働省によると、熱中症による死者数は18年が約1500人、19年は約1200人に上る。

熱中症に詳しい帝京大の三宅康史・高度救命救急センター長は「市民の熱中症に対する意識が高まっているのは良いことだが、軽症で救急搬送されてくる人が増えている《と話す。意識に異常がみられるならすぐに救急車を呼ぶ。意識があるなら、まず水分を自力で飲ませる。三宅さんは「自力で飲めないときや飲めるのに良くならないときは、医療機関に連れていくが、場合によっては自家用車を使ってほしい《。

今年の暑さはどうだろう。民間気象情報会社「ウェザー・‐ニュース《が6月に発表した予想によると、二つの高気圧が重なる時期には猛暑となり、東日本と近畿地方は平年よりやや高く、その他の地域でも平年並みかやや高めという。 (後藤一也)


(出典:朝日新聞、2021/07/10)

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