【カギは「水素結合」湿気で切断】

梅雨時の髪

ただでさえジメジメして気分が晴れない梅雨時、せっかくセットして出かけても会社や学校に着くころには髪の毛がぐちゃぐちゃで気分は最悪。なぜ雨の日は髪がうまくまとまらないのか、化粧品大手花王のヘアケア研究所主任研究員の渡辺俊一さんに聞いた。また、梅雨時でも簡単に髪をまとめる美容師の技を教わった。

まっすぐな美しい黒髪が日本人の特徴と思われているが、実は多くの人の髪は自然な状態では曲かっているという。渡辺さんによると、雨の日に髪がまとまらなくなる理由は二つある。一つは、髪の内部の水分量。もう一つは整髪料だと言う。

髪は元々曲かっているが、水にぬらしたりヘアアイロンで熱を加えたりすることで形を整えることができる。これは、髪の内部で起きている「水素結合《のおかけだ。髪はたんぱく質でできており、髪の内部でたんぱく質同士が水素結合で結びつくことで髪の形は決まる。曲がった状態のもともとの形の髪に水や熱を加えると水素結合は簡単に切れる。そこで形を整えてから乾かしたり冷ましたりすると、再結合して整ったまま形が落ち着く。

ただ、梅雨時には湿度が高いため髪が水分を吸収し、水素結合が切れて曲がった状態のもとの形に戻ろうとして髪が乱れる。長さが20~25㌢のミディアムヘアの女性の場合、気温20度で湿度40%だと髪に10㌘程度の水分が含まれるが、湿度が80%になると倊近くの水分量になる。くせ毛や傷んでいると髪はさらに水分を吸収しやすく、雨の日に乱れなくするためにはお手入れが重要だという。ちなみに、湿度に応じて髪が伸び縮みする性質は湿度計にも利用されている。電気を使わないため美術館などでは今でも毛髪湿度計が使われている。

雨で髪が乱れる原因のもう一つは整髪料だ。整髪料は形を整えた髪の表面を覆って形を保つ。ただ、湿度が高いと整髪料が水分を吸って軟らかくなり、元の形に戻ろうとする力に耐えられなくなってしまう。

ではどうすればいいのか。頭皮ケアに詳しい吊古屋市の美容室「kotei head+hair《(コテイヘッドプラスヘア)を経営する末原美津子さんに髪のお手入れと雨の日でも崩れにくいスタイリングを教えてもらった。

髪が傷むと雨の日に髪が乱れやすくなるので、毎日のお手入れが重要だという。シャンプーでは、髪を洗う前に2~3分しっかりとすすぐ。脱脂力が強くないくせ毛用やカラー、ダメージ用などしっとりする夕イプのシャンプーで、髪よりも頭皮を洗うように3~4分洗う。すすぎは4~5分、泡が残らないように上から下へと意識して洗い流す。トリートメントは、頭皮には付けず毛先を中心に付ける。

お風呂を出たらタオルでこすらないように頭皮をしっかりと拭く。乾いていない髪は表面を覆ううろこ状のキューティクルが開き成分が浸透しやすいので洗い流さない卜リートメントはこのタイミングで行う。

ドライヤーは表面ばかりではなく根本からしっかりと乾かす。くせ毛の場合は少し引っ張るようにしながら乾かすと良いという。こうした手入れを続けることで髪の中の水分と油分のバランスを整えるという。

雨の日はオイルのスタイリング剤がおすすめだ。付け過ぎず全体になじませ、最後にスプレーでキープする。また、耳に掛けたり結んだりすると崩れにくい。髪が短い男性ならシェルなどで固めてもいい。末原さんは「ハーフアップのお団子やくるりんぱなど簡単で崩れにくい髪形がたくさんある。ネットでも紹介されているので試してみてほしい《と話す。(姫野直行)



(出典:朝日新聞、2021/06/12)

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