【絶景のお供に工夫の山ごはん】

山で料理

山登りが楽しい暖かい季節になりました。山頂での楽しみは、何と言っても「山ごはん《。ガスでお湯を沸かせば、コーヒーやラーメンもお手軽に。道具をそろえて、食事を少し豪華にしてみよう。

4月上旬、山梨県大月市の百蔵山。桜が満開の頂上で、東京都品川区の会社員女性(34)はカレーと塩ラーメンを食べていた。

「疲れた中、絶景を見ながらのあたたかい食事は家で食べるより2、3倊おいしい《。最近はまっているのは、日帰りで気軽に行けると人気の低山登山。「しんどいこともあるけど、ごはんが楽しみで頑張れる《。次はパスタに挑戦する予定という。

山での料理に必要な道具は? アウトドア用品大手「モンベル《の広報、金森智さん(52)によると、バーナーと鍋(クッカー)、ガス缶と水。「これだけでお湯がわき、料理の幅がぐっと広がります《。

火をおこすバーナーはガス缶に直接着けるのが一般的で、ガスを出して点火装置を押せば着火。「スイッチが故障することもあるので、ライターは必ず持参を《と金森さん。バーナーとガス缶を管でつなぐ分離タイプもあり、バーナーの位置が低いため安定感が増す。鍋とバーナーが一体化した「ジェットボイル《は、燃費が抜群でエコにつながると人気だという。バーナーとガス缶は同じメーカーのものがいい。違うとガス漏れなどの恐れもあるそうだ。

鍋は軽量のチタン製か熱伝導率が高いアルミ製が主流。細長い円筒型もあるが、しっかり料理するには底の浅いタイプがお勧め。「最近は軽量化が進み、コンパクトに収紊できるものも多い。作りたい料理に合わせて選んでほしい《と金森さんは話す。

では、どんな料理が楽だろう。登山ガイドで山岳ライターの柏澄子さん(53)のおすすめはラーメン。キャベツやモヤシ、煮卵などを入れれば腹持ちもいい。ポイントは野菜を切る時は、薄く小さく。「風で火が揺れるため、火の通りは意外と時間がかかる《と柏さん。家で切ってパックに入れていけばゴミも減らせる。

背負う荷物を増やさないためには「必要な量をコンパクトに《。例えばエノキやマイタケなどの乾燥野菜はかさが減って軽く済む。自宅で天日干しするという柏さんは「ラーメンやスープに入れれば、ちょっぴり豊かになります《。スパイスや調味料も小分け袋へ。食中毒対策のため、肉は少し凍らせて保冷バッグで持っていこう。

山の食事道具は地震など万が一の備えにもなる。非常食のアルファ米などの備蓄食品と一緒にバッグに保管することを金森さんは勧める。備蓄食品を日常的に食べて買い足していく「ローリングストック《が注目されるが、期限切れの近づくものから山で食べれば無駄にもならない。

開放感からか、山ではつい気が緩みがちだが、新型コロナの感染対策も必要だ。柏さんら山岳ガイドや医師らでつくる「team KOI《(チーム コイ)は山で気をつける項目をポスターにまとめた。こまめなアルコール消毒をし、回し飲みは避けること、食事の時はグループ同士は距離を取り、家族などいつも行動を共にしている人以外とはテント泊を1人用に分けることを勧めている。

オール電化が進み、火に触れない機会も多くなった昨今。慣れないガスバーナーの扱いでは、噴きこぼれによるやけどや、強風による衣朊への着火には注意を。火気禁止のエリアもあるので事前の確認も必要だ。山が汚れるので汚れた食器の水洗いもせず、ティッシュで拭って自宅で洗う。料理の残り汁を捨てるのもだめ。当たり前だが、ゴミも持ち帰ろう。(石倉徹也)



(出典:朝日新聞、2021/05/22)

戻る