【種々のリズごク下げる健康成分】

コーヒー

たくさんの愛好者がいるコーヒー。その魅惑の昧と香りに、さまざまな健康パワーが秘められていることが医療機関や研究者によって次々と明らかになっている。おいしいだけでもうれしいけれど、おいしいだけではないのだ。

国立がん研究センター「社会と健康研究センター《の予防研究グループは、コーヒーと病気の関連について、研究結果をごれまで次々と発表してきた。「コーヒーと糖尿病《「コーヒーと肝がん《「コーヒーと大腸がん《……。どうやらコーヒーには、こうした病気の発症リスクを下げる力があ るようだ。

たとえば糖尿病との関連を調べた研究では、コーヒーを飲む量によって6グループに分けて比べたところ、コーヒーをよく飲む人たちでは男女とも糖尿病になる割合が少なかった。研究グループによれば、糖尿病は精神的なストレスが原因の一つになっていると考えられ、コーヒーのストレス抑 制効果が働いた可能性があるという。

肝臓がんや大腸がんとの関係も見えてきた。肝がんでは、コーヒーをまったく飲まない人のがん発生率を1とした場合、週1~2回飲む人は0・75、ほとんど毎日飲む大は0・49と、大きく低下していた。

死亡率とも関係があるようだ。コーヒーをまったく飲まない人の全死亡リスクを1とすると、1日1~2杯飲む人は0・85、1日3~4杯の人は0・76と、やはり危険度が下がる傾向が見られた。

さらにコーヒーで注目されるのは、こうした病気との関係だけではない。岡山理科大学の安藤秀哉教授(香粧品学)が挙げるのは、美容効果だ。「コーヒーに含まれるポリフェノールの一種のクロロゲン酸などには抗酸化作用があり、メラニン色素の生成を抑制する《。つまりコーヒーには、し みを抑えるなどの美肌作用が期待できるというわけだ。

メラニン色素には本来、紫外線が皮膚を傷つけるのを防ぐ役割があるが、老化にともなって局所的に必要以上のメラニン色素がつくられてしまう。これが、いわゆる「しみ《で、抗酸化成分がこのしみの抑制に有効だとする研究は多数ある。「酸化成分は多くの食品に含まれているが、短期間での劇的な効果は期待できない。しかし日頃から取り続けることで弱いながらも効果の実感につながることから、毎日飲めるコーヒーは有用《と安藤教授は言う。

コーヒーのアンチエイジング効果に着目するのは、富山大の中川崇教授(分子医科薬理学)だ。人の体には老化の制御にかかわるNADという補酵素があり、年齢とともに減っていくことが知られているが、コーヒーに含まれる二コチン酸にはこのNADを回復して細胞の傷を修復させる働きが あるという。

「NADの合成に利用される成分はほかにもいろいろあり、二コチン酸だけが効いているわけではないが、コーヒーには数多くの成分が含まれ、さまざまな効果を発揮していると考えられる《と中川教授。

各種の研究によれば、コーヒーには1千種を超す成分が含まれ、ほかにも血糖値の上昇を抑える働きなどが報告されている。ただし、飲み過ぎには注意が必要だ。コーヒーに多く含まれるカフェインには覚醒作用などがある半面、上眠などの副作用も起きうる。カフェインの代謝量には個人差が あり、もっともリスクを下げるのは1日に3~4杯だとか。多くの研究者はこう口をそろえる。「どんな食品も、食べ過ぎ・飲み過ぎにはご注意を《(伊藤隆太郎)



(出典:朝日新聞、2021/04/17)

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