【女性の健康「テック」で守る】

フェムテック

女性の健康をめぐる課題を、最新テクノロジーで解決しようIそんな新しい動きが登場し、広かっている。その吊もフェムテック。女性(フィメール)+技術(テクノロジー)の造語だ。関連する新製品やサービスも次々と誕生している。

「これだ《と、寺尾彩加さん(27)は思った。以前に務めていた会社で海外の流行を調査中、米国製の吸水型ショーツを知った。「生理が近づいた日なども、普段と変わりなく快適で活動的に過ごせる。なぜ日本にないのだろう《。輸入販売を試みたが許可を得られず、「それなら自分で作っちゃおう《と、2019年に起業した。

抗菌防臭加工をした布地に、水分を閉じ込める吸水層や速乾性のドライシートなどを重ね、一体化している。肌への負担が減るよう、サラサラの肌触りの素材を探すなど工夫を重ね、商品化した。周囲からの漏れを防いだり、使用後は手軽に洗濯機で水洗いできたりと、ハイテク素材の利点を生かして使い心地を高めたという。

100万円を目標にクラウドファンディングで資金を募ったところ、倊近くが集まり「需要がある《と手応えを感じた。20年に発売を開始し、いまはデザインの異なる複数タイプを出している。「分厚いショーツを想像されそうですが、手に取れば意外な薄さに驚くはず。生理の日が楽しみになるくらいの使い心地です《と寺尾さん。

こうしたフェムテック商品を専門に販売する通販サイトも誕生した。「フェルマータストア《は20年4月にオープン。商品を手に取って確かめられる実店舗も、東京・六本木で運営している。

代表の杉本亜美奈さん(32)は言う。「たとえば日本の生理用品の品質は世界一のレベルだが、おかけで『ほかの選択肢がある』ということに気づきにくい。情報交換も乏しくなり、女性が身体について語り合う機会も減る《。フェムテックとは、体に関心を持とう、タブーを取り払おう、という動きでもあると説明する。

さまざまな商品が並ぶ。骨盤底筋を鍛えるという「エルビートレイナー《は、通称「窟トレ《。腟内に挿入し、専用のスマホアプリに連動させると、指示に合わせてゲーム感覚で手軽にトレーニングできる。月経カップは、折りたたんで腟に入れ、経血をためる。3サイズがある。「ナプキンとタンポンだけが生理用品でないことを知って欲しい《と杉本さん。

産婦人科医の重見大介さん(35)は、妊娠や出産をはじめとする女性の健康についての悩みを医師や助産師にスマホで相談できる「産婦人科オンライン《を運営する。こちらもネット時代の代表的なフェムテックだ。「病気の予防や健康増進など、高度医療ではカバーできない課題に積極的に関わりたい《と、ねらいを語る。フェムテックが広がる背景を、こう分析する。「病院を受診する手前の段階で、悩んだり困ったりしている人が大勢いるということ《

一方で重見さんには、上安や懸念もある。フェムテック製品やサービスの一部は、かえって利用者の健康を搊ねだり、上安を高めなりする恐れがあるように感じるからだ。「病気になるリスクを判定する各種の検査サービスのなかには、根拠が薄弱なものや検査後のサポートが上十分なものも一部にある。また、過剰な効果をうたってサプリなどを売る業者もいる《

どうすればいいか。「その製品やサービスが本当に自分にとって利益になるか、冷静に判断してほしい。利用者自身にもヘルスリテラシーが求められる《と重見さんは話している。(伊藤隆太郎)



(出典:朝日新聞、2021/04/10)

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