【料理に適量、コクとうまみに】

ショウガ

新型コロナウイルスの感染拡大で、自宅で過ごす時間が増えた。家での食事で少し でも体にいいものをと、きざみシヨウガをちょい足しするスープをとるようにしてい る。のどにピリツとくるスパイシーだけどやさしい刺激で、食欲も増進しそうだ。

ショウガを手軽にとるコツを、川崎市のショウガ料理専門店オーナー、森島土紀子 さんに聞いた。森島さんは、高知県の農家から毎年2㌧近いショウガを取り寄せてい るという。

料理に使う際のポイントは、ずばり「おいしくなる適量を入れる《ということ。和 食、洋食、中華、スイーツとなんでも合うが、「入れすぎはだめ。自分がおいしいと 思うところでやめておく《。よく洗って皮ごと使う。皮があった方が香りを生かせる そうだ。「ショウガは辛いと思っている人もいるが、煮込めばコクとうまみになる。 子どもでも食べやすくなる《と森島さん。

簡単に作れるショウガのスープを紹介してもらった。その吊も「春雨と野菜とソー セージのカレースープ《。実際に作って食べてみた。ショウガのピリツとした辛さと カレーの風味がよく合う。ショウガがほどよく香り、野菜の香りまで引き立たせてい るようだ。体がホカホカ温まり、活力がわいてくるようだった。辛さが苦手な人は、 ショウガやカレー粉を少なめにするなど工夫もできそうだ。

さまざまな料理で活躍するショウガだが、体にどんな効果が期待できるのか。

ショウガは、ショウガ科の多年生草本で、原産地は熱帯アジア。温暖で多湿な気 侯を好む。農林水産省の最新の統計によると、国内での年間収穫量は4万6500㌧ にのぼる。都道府県別では、高知県が最も多く約4割を占めている。

日本では、[般的に一年を通して栽培されている。利用されるのは主として塊茎 、(地下茎の一部)の部分。食材、香辛料として使われるほか、臭い消しとしても活用 されている。また、風邪薬や健胃薬などの生薬としても利用されている。

中部大学の津田孝範教授(食品機能学)は、細胞レベルで、ショウガの成分の働き を調べた。血糖値の低下を促すインスリンの「効き《を高めるホルモンの一つ「アデ ィポネクチン《の低下を防いだり、分泌を増やしたりすることを見つけた。

ショウガの主な辛み成分は、ショウガオールやジングロンなどで血行・消化促進や 殺菌作用がある。一方、香り成分はジンギベレンやシトロネラールで、食欲増進や健 胃作用があるとされる。ショウガをとることで、エネルギー消費の増加や体表面の温 度の上昇、抹消の血流が良くなるなどの効果があると考えられている。

ショウガなど漢方薬に詳しい石原新菜医師によると、ショウガを蒸すことでショウ ガに含まれる薬理成分が増すという。石原さんは「ショウガをとると血流がよくなり 体が温まる。冷え性や低体温の人にはとくにとってほしい《と指摘する。

   ショウガは、根ショウガと葉ショウガに大きく分けられる。根ショウガのうち、収 穫後、一定期間貯蔵したのが、ひねショウガと呼ばれ、一般的に流通している茶色い ショウガだ。一方、初夏に収穫してすぐに出荷されるのが新ショウガ。葉ショウガ は、葉がついた形で根茎は細く皮が白く、茎の付け根が赤いのが特徴だ。

保存する場合は、直射日光に当たらない15度程度の場所に置くことがポイントだ。 湿気を保つためい水でぬらしたキッチンペーパーや新聞紙でくるんでおくと長持ちす るという。(今直也)



(出典:朝日新聞、2021/03/06)

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