【育てて活用、料理に入浴剤に】

ハーブ

新型コロナ感染拡大の影響で在宅ワークや外出自粛が増え、おうち時間を楽しむ人が増えてきた。記者も在宅時間を豊かにしようと、以前から興味のあったハーブ栽培を始めた。ただ育てるだけでなく、料理やお茶、入浴剤として活用できて一石二鳥。専門家にハーブの楽しみ方について教えてもらった。

「ハーブは香り・色・薬・酸味などの成分を目的とした、私たちの暮らしに役立つ植物のことをいいます」と解説してくれたのは、日本メディカルハーブ協会理事の木村正典さん。レモンやオレンジなどのかんきつ類は、皮や搾り汁を香りや酸味を目的として利用すれば「ハーブ」、中身を食べるなら「果実」になるという。

ハーブの語源は、ラテン語で「草」を意味するHerb。歴史は長く、古代エジプトでは防腐剤としてミイラの保存に使われた。14世紀以降に欧州でペストが大流行したときは、免疫力を高める作用や殺菌効果があるとされるハーブが薬のように重宝された。

現在でも、植物が持つ香りや成分を生かし、体に備わっている自然治癒力を高めて、心身の健康に役立てるという自然療法にハーブが利用されている。最近では生活をより楽しく豊かにしようと、お茶を入れたり料理に使ったりと、普段の暮らしに取り入れる人が増えている。

ハーブは、家のベランダなどで手軽にプランター栽培できるのが特徴だ。園芸店や花屋、ホームセンターで苗や種が手に入る。今の時期なら寒さに強く、舂にかけて花が咲くローズマリーがおすすめ。木村さんは「ラベンダーといった香りがいいものや、バジルなど食用にもなる用途が多いハーブを育てると楽しみが増える」と話す。種類によって水加減が違うため、葉や土の状態をよく見て水をやること、風通しと日当たりの良い場所で育てることが大切だ。

育てたハーブを料理の香り付けやスパイスとして使ったり、ハーブティーとして楽しんだりすることもできる。ハーブティーをおいしく入れるには、ティーポットー杯(200ミリリットル)のお湯に大さじ1杯程度のハーブを使う。沸騰したお湯をポットに注ぎ、ふたをして3〜5分蒸らす。抽出時間は花や葉で3分、実や種では5分が目安。時間をかけすぎると、渋みや苦みが出るので注意が必要だ。

ハーブティーの専門店では自分の悩みに合わせて、ブレンドして購入できる店もあり、専門知識を持つ店員からアドバイスを受けることができる。例えばぐっすりと眠りたいときは、冷えを改善してリラックス効果があるとされるカモミールやラベンダーをブレンドしたものを夜に飲むといい。ハーブティーはカフェインや砂糖、着色料などの添加物を含まないので、眠る前でも安心して摂取できるという。

朝は、清涼感のある味と香りが特徴のペーパーミントが頭をシャキッとさせて、集中力を高めてくれる。胃腸の不調にも効果があるので食べ過ぎや飲み過ぎの朝にもおすすめだ。クエン酸が含まれるハイビスカスや、ビタミンCが豊富なローズヒップは、美容や疲労回復に効果的だ。

他にも、フレッシュなハーブを煮出して入浴剤として風呂に入れたり、ドライハープを小袋に入れて、芳香剤や消臭剤として使ったりすることも。消臭剤には抗菌作用があるセージやレモングラスを使うといい。木村さんは「家で育てたものなら農薬などを気にせず安心して使える。自分の気に入った香りのものを育てて楽しんでほしい」と話している。(小川詩織)



(出典:朝日新聞、2021/01/23)

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