【「撮る×詠む」の相乗効果】

写真俳句

自分で撮った写真と自作の俳句を組み合わせて作品にする「写真俳句」が、静かに人気を集めている。コロナ禍で外出を控えがちになるが、運動不足になると筋肉量が減ったり、認知機能が下がったりしてしまうこともある。人との接触に気をつけながら、写真俳句を作りに出かけてみませんか。

写真俳句連絡協議会(東京都)が運営するネット上のコミュニティー「写真俳句ブログ」)https://syashinーblog/)には、各地から多くの作品が投稿されている。 昨年12月21日の冬至には〈マス クして眼鏡にワイパー欲しき夜〉という作品が、ぼんやりとした三日月の写真とともに投稿された。コロナ予防のマスクのせいで曇った眼鏡ごしに、月を眺めたのだろうか。別の会員から「マスクが必需品になるとは……」などとコメントが寄せられるなど、会員らはネット上で交流を楽しんでいる。

同協議会長の中村廣幸さん(64)によると、作品づくりの基本ルールは@自作の写真を使うA自作の俳句をつけるB写真と俳句を一体化させて表現するの三つだ。「本格的な写真や俳句にこだわる必要はない。作法にしばられず、まずは気軽に作ってほしい」

写真の撮影は小型のデジカメやスマートフォンなどで十分だ。散歩道やペットと遊 写真俳句連絡協葵二惠只都)が運営すんでいるときなど、ふとした日常を写しとる。たくさんシャッターを押して後で選ぶとよいという。

俳句の経験のない人は、最初は季語などのルールに縛られず、感動を素直に表すことを心がけるのが良いという。五七五のリズムを大切にしながら、単に取った写真の脱明にならないようにするのがポイントだ。先に写真を撮ってもいいし、俳句を詠むのが先でもよい。「写真と俳句がつかず雕れずの関係を築き、相乗効果を生み出せるのが理想です」と中村さん。

写真俳句は、同協議会名誉顧問で作家の森村誠一さんが提唱してから、各地で愛好する人たちが増えた。松山市や埼玉県熊谷市などではコンテストも開かれており、腕だめしをすることもできる。

サークル活動を通して作品づくりを楽しむ人たちもいる。静岡県熱海市の市民グループ「熱海写真俳句撮詠物語」は70代が中心だが、90歳で精力的に創作している会員もいる。代表の矢崎英夫さん(73)は「写真俳句を始めると、題材を探そうと注意して日常風景を見るようになるので、世界がまるで変わる。どう表現したらいいのかも考えるので、結果的に頭も体も活性化される」と話す。

コロナ禍で高齢者らが運動不足になると筋肉量や認知機能の低下や、持病の悪化につながる恐れがあるとして、スポーツ庁は注意を呼びかけている。健康な高齢者が2週間、家の中であまり動き回らないと、脚の筋肉量が3・7%減るとの研究もある。日本臨床スポーツ医学会なども、高齢者や持病を持つ人らに、これまで通り運動するよう呼びかける共同声明を出した。

関西医科大健康科学センター長の木村穣教授(循環器内科)は「楽しみがあれば出かけやすくなる。歩きながら俳句を考えるなど二つのことを同時に行う『二重課題』は、脳が活発に働くので認知症の予防にとてもいい」と話す。コロナ禍で運動不足になり、糖尿病や動脈硬化などの持病が悪化する大も多いという。「人のいる場所ではマスクをするなど感染予防をしながら、身体活動の維持を心がけてほしい」と話している。(小川裕介)


(出典:朝日新聞、2020/01/16)

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