【予防に水分「中と外から」】

のどの違和感

冬になると、のどがイガイガしたり詰まったように感じたり。そんな違和感に悩む人は多いだろう。今年は新型コロナウイルス感染症もあり、特に不安は避けたいもの。原因と対策を専門家に聞いた。

杏林大学医学部の齊藤康一郎教授(耳鼻咽喉科学)は医師向けにのどの違和感の原因を解説した論文を出したことがある。違和感を訴える患者は多いが、診断がつかないことが多いという。齊藤さんはのどの乾燥を防ぐように指導している。

日本は季節によって気温の差が大きい。「中と外の両方から加湿してくださいと、呼びかけています」。中からとは、水を飲むことだ。夏場に限らず1年を通して1日1・5gを目安としてこまめに飲んでほしいという。「夜中のトイレを気にする人もいるが、ぜひ寝る前もコップー杯の水を飲んでほしい」。口の唾液腺のように、のどにも喉頭腺がある。水分をとることで粘液の分泌が促され、湿潤を保てるという。

のどあめは効果があるのか。「よく聞かれます。医薬品ではないのではっきりしたことは言えませんが、唾液がよく出てのどを加湿する効果はあると思います」

外からの対策も大事。マスクや加湿器を使い、吸い込む空気の湿度を高める。

一方、病気が原因の不調もある。「実は鼻づまりが原因ということがよくあります」。アレルギー,副鼻腔炎、気候性鼻炎、鼻中隔湾曲症などさまざまだ。鼻づまりが長年続くと本人も症状に気づかないケースがあるそうだ。口呼吸になりのどが乾燥してイガイガなど不調につながる。

また、のどがピリピリするときは習慣性へんとう炎のことも。細菌やウイルスの感染でへんとう炎を繰り返したり炎症が長引いたりする病気だ。命に関わる病気では、のどがはれて気道をふさぐ急性喉頭蓋炎の場合も。息苦しさや発熱を伴う場合は一刻も早く医療機関を受診してほしいという。

一方、朝に声を出しづらいのは単に声の出し始めだからかも。声帯からどれくらい空気を出したり力を入れたりしたら良いか、体が調子をつかめていない。「朝ご飯を食べて出勤すると、いつのまにか違和感がとれていることが多いです」

慶応義塾大学病院でのどの専門外来を担当する矢部はる奈医師は、違和感の原因として「たくさんのどを動かしたり刺激が強すぎたりすると二次的な炎症が起きることがあります」。長電話や会議でずっと話すなど20〜30分程度連続してのどを使う場合があてはまる。水分をとり、話したのと同じ時間のどを休ませるとよい。

のどのためにはピリ辛の料理なども控えた方がいいのだろうか。矢部さんは「本当に激辛なら局所的な炎症になる可能性はある」としつつ「普通はのどの違和感に直接結びつかないと思います」。ただ、せきやたんが出やすくなることはある。「すっきりさせようと思ってせきばらいをすることで、のどの違和感、ピリピリした感じにつながるのでは」という。せきばらいを避けて水分をとるとよいそうだ。

矢部さんは「いったん炎症になると戻るのに時間がかかります」と予防の大切さを訴える。喫煙や過度な飲酒はのどの乾燥や慢性的な炎症の原因になるそうだ。また、のどの違和感は胃液の逆流でも生じる。胃酸によってのどの収縮筋が締まるため、食べ物や唾液を飲み込むときに圧力がかかる。胃酸の分泌を抑える薬で改善できるという。また違和感が長びく場合は腫瘍など重大な病気が隠れていることがある。「放っておかず耳鼻科を受診してほしい」(三上元)



(出典:朝日新聞、2020/12/12)

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