【微量元素の摂取 不足が目につく女性の鉄摂取】

鉄や亜鉛、銅といった「微量元素」は私たちの体が正常に働くために必要な物質です。適切な量を取るにはどうすればよいのでしょうか。

厚生労働省が定める食事摂取基準(215年版)は、鉄、亜鉛、銅、マンガ ン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデンの八つの微量元素について、性・年齢別に1日あたり必要とされる量などを示している。

17年の国民健康・栄養調査では、女性の鉄摂取の不足が目につく。月経がある女性では推定平均必要量が15歳〜29歳で8・5ミリグラム、30歳〜69歳で9ミリグラムとされているのに、これらの年代の実際の摂取量は6・4〜8・2ミリグラム。推定平均必要量はある集団の50%の人が必要量を満たすと推定される量なので、必要量を満たしている人は半数に達していないことになる。

同じ調査で成人男性の亜鉛の摂取量は推定平均必要量を上回っているものの、ある集団のほとんどの大が充足している量を示す推奨量には達していない。

微量元素が足りない場合に起こる健康障害としては、鉄欠乏性貧血のほか、亜鉛不足による味覚障害、免疫力低下、銅不足による貧血などが知られている。

女子栄養大の上西一弘教授によると、骨の代謝にかかわるマンガン、甲状腺ホルモンをつくるヨウ素などは日本人の通常の食生活で不足することは考えにくい。「偏りのない食事を心がけることが大事」と言う。

一方で、取りすぎもよくない。上西さんによると、サプリメントで多量の亜鉛を継続的に取ると貧血になり、ヨウ素の過剰摂取は甲状腺腫、セレンの取りすぎは皮膚、胃腸などの障害を招くという。

同志社女子大の吉田香特任教授が行った10〜80代の男女約320人へのアンケートによると、健康に気を使って食事をする人の方がサプリメントを飲用していることがわかった。吉田さんは「食事だけでは不十分と考えて種々のサプリメントを常用する人がいるが、微量元素の過剰摂取になる可能性があるので注意が必要だ」と指摘する。(出河雅彦)


(出典:朝日新聞、2018/12/01)

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