【ロの健康維持 かむ力や飲み込む力を保つ】

最近、食べこぼしが増えたり、むせてしまったりするなどの症状はありませんか。加齢とともに口の機能が衰える「オーラルフレイル」の兆候を早めに発見し、対処することが大切です。

「フレイル」とは「虚弱」を意味する英語が語源で、高歳になって筋力や心身の活力が衰えた状態を指す。「オーラルフレイル」は、口の機能の衰えが、食欲の低下や栄養状態の悪化をもたらすという概念で、近年注目されている。

口の健康を維持するためには、歯の本数だけでなく、かむ力や飲み込む力、舌の力を保つことも欠かせない。「硬いものがかめないと、軟らかいものばかり食べて、かむ機能が低下するという悪循環に陥る。放っておくと、誤って食べ物などが気管に入る誤嚥を招きかねない」と、東京大高齢社各総合研究機構の飯島勝矢教授(老年医学)は指摘する。

例えば、さきイカやたくあんなどの硬い食べ物がかめない場合、かむ力や口の筋力が覇まっている可能性がある。お茶や汁物でむせることがあれば、飲み込む力が低下している恐れがある。これらの症状を予防するには、次のような体操が有効だ。

一つは、唾液(だえき)の分泌を促す唾液腺マッサージ。奥歯の周囲の耳下腺、あごのエ ラの下にある顎下(がっか)腺、あご真の中央にある舌下腺を指で優しく刺激する。「唾液 が出ることで、食べ物を飲み込みやすくなる」と飯島さん。もう一つは「バタカラ体操」。「パパパ、タタタ、カカカ、ラララ」「バタカラ、バタカラ、バタカラ」と大きな声で繰り返す。パは唇、タは舌の先端を使うといったように」ロの周囲の筋力を向上させることができる。

東京都健康長寿医療センターの平野浩彦・歯科口腰外科部長は、「普段の食事でたくあんやにんじんなど、かむと音のする物を一品入れるだけでも効果がある」という。今年4月から、口腔機能の低下が疑われる65歳以上を対象に、かむ力の検査などが保険適用になった。「かかりつけ医をもって、定期的に歯科検診することも大切」と平野さんはアドバイスする。(佐藤建仁)



(出典:朝日新聞、2018/06/02)

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