【ボール運動に親しむ 遊びの中で身のこなしを体得】

ゲームを通じてボールに親しみ、動きを習得する運動プログラム「バルシューレ」が注目されています。首都圏を中心に幼児・小学校低学年向けの教室が広がり、家庭で試せるものもあります。

3月中旬、東京都武蔵野市であった教室を訪ねた。幼稚園児が2チームに分かれ、テーブルをはさんで向かい合い、的の「コーン」にボールを投げる。倒したコーンが多い方が勝ちで、限られた時間で正確にボールを投げることが必要だ。

子どもたちは片手や両手など、思い思いにボールを投げる。先生役の小竹克幸さんは、ルールは説明するが投げ方などの技術は教えず、「頑張って」「投げて、投げて」と盛り上げるだけ。ゲームの中で成長段階に合った自然な投げ方を自分たちで身につけてもらうのがねらいだからだ。

約1時間の教室は、数種類のゲームで構成される。ゲームは、ボールを扱う「技術」、時間などの制約がある中での体の使い方を身につける「身のこなし」、位置取りなどの「戦術」の3分野に大別され、それぞれ約50種類ずつある。小竹さんは「色々な体の動かし方を満遍なく伸ばしてもらうように心がけている」と話す。兄弟で教室に通う高山渓君(9)と湊君(5)は「色々なゲームがあって楽しい」。母親の祥子さんは「ボールで遊べる場所が減る中、楽しみつつ運動好きになってほしい」と話す。

バルシューレは1998年、ドイツのハイデルベルク大学で開発された。ドイツのスポーツ教育に詳しい岡出美則・日本体育大教授によると、外遊びの場所が減り、多彩な運動能力を身につける機会が失われたことが誕生の背景だ。

例えばサッカーで、ドイツの選手は主にクラブチームで技術を磨く。一方、南米の選手は幼少期にストリートサッカーを楽しむ中で様々なボールゲームの基本的な動きを身につけることで、創造性豊かなプレーが育まれると考えられた。

岡出さんは「遊びから学ぶ機会が減った日本の子どもにも、10歳ぐらいまでは色々な運動を経験させてあげた方が良い」と話す。(川村剛志)



(出典:朝日新聞、2018/04/07)

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