【牛肉のサシ 魚・植物油とバランスとり、総量に注意】

牛肉のサシ(脂肪交雑)をめぐり「適量」を考える動きが出ています。おいしさの鍵ですが、取りすぎは病気や胃もたれのもと。1上手に摂取したいものです。

サシは赤身に入った脂肪のことで、加熱で溶け出し、肉の風味や柔らかさが増す特徴がある。サシの量は日本食肉格付協会が定めた「ビーフ・マープリング・スタンダード(BMS)」という基準の模型や写真と、肉の断面の脂肪面積などを比較し、多い順に12〜1で判定する。

いわゆる「A5」ランクと呼ばれる肉は、サシが多めのBMS8〜12のうち光沢などの基準も満たしたものを指す。

昨年、東京・浅草の老舗すき焼き店「ちんや」店主、住吉史彦さんが「サシが過剰ではない肉だけを使う」という「適サシ肉宣言」を発表した。br>
脂肪割合がA5より少ない、BMS5〜7を適度なサシの量とした。客から「霜降り肉は胃がもたれるため、食べたくない」との声が増えたためだ。サシが多いほど高額となる「A5信仰」と呼ばれる流れに一石を投じ、注目を集めた。

業界ではもともと、脂肪が増え過ぎると肉本来のうまみが減ると言われてきた。農林水産省も2010年以降、牛肉生産時のサシの量の目標を「現状維持」に置き換えている。現状の肉は既に十分なサシが含まれているとの認識だ。

脂質を取りすぎると心疾患などのリスクに対し理想的とされてきた日本人の脂質摂取量やバランスが崩れる可能性がある。現在の平均摂取量は1日約60cだが、お茶の水女子大の藤原葉子教授(栄養化学)は「サシが多ければ、100cの肉を食べているつもりで50c以上も脂質を取っている可能性もある。総量に気をつけ、魚や植物性油の不飽和脂肪酸とのバランスも考えてほしい」と話す。

牛脂に多く含まれる飽和脂肪酸は消化に適した「乳化」の状態になりづらく、胃に長く留まって胃もたれを感じる可能性がある。脂肪の吸収に詳しい池田郁男・東北大教授(食品化学)は「植物性など液体の油脂成分が含まれる食品と一緒に食べれば、消化されやすくなる」と話す。(竹野内崇宏)



(出典:朝日新聞、2018/03/03)

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