【中年期からの歯の管理 かむカを維持し、栄養の偏り防ぐ】

80歳で自分の歯を20本以上保つことを目標とする「8020運動」の開始から 30年近くたち、達成した人の割合は厚生労働省の推計で昨年初めて5割を超えました。かむ力を維持することは栄養摂取の備りを防ぎ、歯周病の進行や筋力の低下を招かないために重要です。

歯が少ない人は栄養の摂取量も少なくなる。2004年の国民健康・栄養調査 によると、40歳以上で歯が20本以上ある人の平均値を「100%」とすると、歯が20本末満の人は、動物性たんばく質が88%、亜鉛が92%、ビタミンAが95%など、たんばく質、ミネラル、ビタミン類の摂取量が少なかった。一方で、炭水化物は99%と、あまり差がなかった。

国立保健医療科学院の安藤雄一統括研究官は同調査に基づき、食品の摂取量と40歳以上の人の歯の数との関連を調ベた。歯の数が「28本以上」「20〜27本」「10〜19本」「1〜9本」「0本」の5グループに分けて比べたところ、「28本以上」の肉類摂取量を100%とすると他の4グループは90%前後で、きのこや魚介類の摂取量も少なかった。

鶴見大学歯学部の花田信弘教授は「十分にかめない人は自分の歯の調子に合わせて軟らかい食物を選んで食べる傾向があり、高カロリーで太っているのに低栄養の状態となる」と指摘する。

新潟大大学院口腔健康科学講座の宮崎秀夫教授が新潟市の70歳の高齢者600 人を1998年から08年まで追跡した研究で、@適正な栄養摂取ができず、血清アルブミン濃度が低かったり、ビタミ、ン、ミネラル類が不足したりしている人は歯周病が進行しやすいA上下の歯のしっかりしたかみ合わせが悪い人は身体のバランスを保つ力や筋力が低下するリスクが高まる──ことなどがわかった。

高齢になってもかんで食べられるようにするにはどうすればよいのか。花田さんは40歳以上の人が心がけることとして、@一口30回かむ習慣をつけるA歯みがきだけでなく歯間ブラシも使うBかかりつけの歯科医院で定期的に健診を受けるC歯が減ったら入れ歯などでかむ力を維持する──を挙げる。(出河雅彦)



(出典:朝日新聞、2017/08/05)

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