【サラシアの働き 血糖値上昇抑えるが、減量効果は疑問】

最近、サラシアという食品素材が話題になっています。東南アジアなど熱帯に生息するサラシア属植物の幹や根から抽出したエキスの総称です。どんな効果があるのでしょうか。

小林製薬と近畿大は共同で、サラシアエキスが血糖値に与える効果を調べた。糖尿病ではないが空腹時の血糖値が高めの男女32人(30−60代)を二つに分け、一方にサラシアユキス配合品と米飯、むう一方に偽薬と米飯をいっしょに食べさせた。次に同じ32人でサラシアと偽薬を入れ替えて試した。その結果、サラシアの方が血糖値の上昇が低かったという。

糖質(炭水化物)はブドウ糖、果糖など最小単位の糖でできている。砂糖の主成分「ショ糖」はブドウ糖と果糖の2連。米などに含まれるでんぶんはブドウ糖が多数数珠つなぎになっている。

でんぶんは唾液などでブドウ糖2個からなる麦芽糖まで分解される。腸内酵素が麦芽糖やショ糖を切り、体内に吸収できるブドウ糖や果糖にする。

サラシアの成分はこの酵素にくっついて働きを妨げる。糖尿病治療薬の一種と同じ効果だ。海外でも血糖値に対する効果について人間を対象とした試験の論文があるという。ただし、治療薬を使っている糖尿病患者がサラシア成分を取ると血糖値が下がりすぎる危険があるので、主治医の許可なく取ってはいけない。

また、近畿大薬学部の村岡修教授は「ヒト試験でBMl(体格指数)の有意な改善効果が認められている」という。だが、機能性表示食品として血糖値への効果は表示されているが、減量効果は表示されていない。研究者や製品会社などでつくる「サラシア属植物普及協会」の理事企業6社に問い合わせたが、脂肪の蓄積抑制など人間を対象とした明確な比較試験はまだないという。中には「協会の会員以外で科学的根拠もないのにダイエット効果があるとサイトでうたっている例があるが、健康増進法などに違反する恐れがある」と指摘する会社もあった。減量効果まで期待するのは尚早のようだ。(鍛治屑太郎)



(出典:朝日新聞、2017/07/22)

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