【ベタンクを楽しむ 手軽な「陸上のカーリング」】

金属製の球を投げて競う「ベタンク」が中高年を中心に人気を集めています。体力がなくても手軽に楽しめる一方、綿密な作戦や技術が求められます。

日本ベタンク・プール連盟によると、ベタンクは20世紀初頭にフランスで発祥。国内では1970年に同連盟の前身の団体ができ、裾野を広げてきた。

「陸上のカーリング」とも呼ばれ、2チームに分かれて金属製の球を直径3aの目標球(ビユツト)に向けて投げ合う。1人が1セットに投げられるのは2〜3球。全員が投げ終わったとき、目標球に近い球を投げた方に点が入る。例えば図のように自分が赤チームの場合、青チームの目標球に一番近い球よりさらに近い球は2球あるので、2点が入る。

4月上旬、40人が活動する「江東区ベタンク協会」(宮坂栄行会長)の練習に参加させてもらった。球は手の甲を前にして持ち、軽く包み込むように握る。投げるときは手首で球を巻き付けるように構え、腕を振ってリズミカルに離す。

さっそく試合だ。指導役の玉井伸さん(50)とペアを組み、小学5年の勝又靖子さん(10)、フランス人のクロード・ヴォーゲさん(75)ペアと対戦した。

「ブラボー!」。勝又さんが目標球にびたりと寄せて、クロードさんとハイタッチを見せた。こちらは地面の傾斜で球がそれたり、相手チームの球にはじき飛ばされたりとふがいない。約1時間半に及んだ試合は3点差で敗北した。だが玉井さんと作戦を考えながら体を動かし、爽快感が残った。勝又さんは「思った通りに投げられると楽しい」と話した。

同連盟に登録しているのは、現在約5千人。祖父と大会に出場する子どもや、体が不自由な人もいるという。同連盟の井上まち子さん(61)は「少しのスペースと球さえあれば、子どもからお年寄りまで誰でも楽しめる」と話す。

ペタンクは、東京五輪の追加競技の候補だったが落選した。だが2024年の五輪は発祥国フランスからパリが開催都市として立候補しており、追加競技になる可能性がある。身近な人が五輪選手になるかもしれない。(小川裕介)



(出典:朝日新聞、2017/05/27)

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