【楽器演奏 仲間と楽しく、頭も休も動かす】

新年度がスタートし、新たな趣味を探している人も多いでしょう。楽器の演奏はいかがでしょうか。全くの初心者でも、気恥ずかしさのハードルを乗り越えれば、楽しく上達できます。健康面でも、演奏行為自体が認知機能の低下予防につながるようです。

米ニューヨークのブロンクス地区で75歳以上の高齢者を5年間追跡した調査では、楽器演奏やチェスを趣味にしている人は、特に趣味をもたない人と比べて、認知症を発症する割合が低かった。楽譜を読み取りながら指先を動かすといった頭と体を同時に使う作業が認知症の予防に有効だとみられている。

熊本大の横山薫教授(認知心理学)は、楽器経験がほとんどない65歳から84歳の男女50人に、鍵盤ハーモニカを練習してもらった。週1回のレッスンと1日平均30分の自主練習を3カ月続けた後、記憶力を測るテストをしたところ、練習したグループは、何もしなかったグループよりも高い得点をとった。横山さんは「演奏会を開く参加者もおり、生き生きした暮らしにつながる」と話す。

経験も楽器もないところから、どうやって始めればよいのか。全国約1300の会場で大人向けの音楽レッスンを展開するヤマハ音楽振興会(東京都目黒区)によると、弦楽器では弓を使うバイオリンやチェロよりも、ギターやウクレレの方が演奏や手入れをしやすい。菅楽器でもフルートよりもサクソフォンの方が音を出しやすいといった特徴がある。

ただ、同会教育指導本部の大友茂主事は「難易度に関係なく、憧れていたものを始めるのが一番」。楽器選びも安価なインターネット通販が広まっているが、「じかに触ってこだわり、所有欲を満たすことも継続のポイントです」と話す。楽器によるが、数万円以上のものを選んだ方がいいという。

マンツーマン形式のレッスンは技術向上を追求する傾向があるが、趣味で楽しむにはグループ形式がおすすめ。大友さんは「仲間をつくる楽しみもある。プレッシャーも少なく、互いの演奏を見ながら上達できます」と許す。(野中良祐)



(出典:朝日新聞、2017/04/15)

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