【亜鉛欠乏症を防ぐ たんばく源を意識した食事を】

ミネラルの一つである亜鉛は、私たちの健康の維持に欠かせない栄養素です。必要な量を摂取するにはどうしたらよいでしょう。

亜鉛は数多くの酵素の活性化や細胞分裂に重要な役割を果たしてい。日本臨床栄養学会のミネラル栄養部会報告「亜鉛欠乏症の診療指針」の作成にかかわった小児科医の児玉浩子・帝京平成大教授は「亜鉛不足は皮膚炎、貧血、味覚障害、発育障害、男性の不妊症、食欲低下、下痢、骨粗鬆症(こつそしようしょう)の原因となるほか、床ずれが治りにくくなったり、感染症にかかりやすくなったりする」と言う。

厚生労働省の食事摂取基準が定める亜鉛の摂取推奨量は、15〜70歳未満の男性で1日当たり10_グラム、女性で同じく8_グラムだ。2015年の同省の国民健康・栄養調査によると、男女ともに未成年者の摂取量は推奨量を上回っているものの、成人になると、やや下回る。20歳以上の平均値は男性が8・9_グラム、女性が7・3_グラムだった。

女子栄養大学の上西一弘教授(栄養学)は「14年の国民健康・栄養調査では、亜鉛をとる食品として最も多いのは穀類で、全体の約4割を占めた。たんばく源となる肉類や豆類に亜鉛が多く含まれていることを意識しながら、偏りのない食事をすることが大事」と話す。

高齢者の亜鉛不足を示すデータもある。長野県の七つの国保珍療所に通う851人(平均年齢78・3歳)を対象にした05年度の調査によると、血清1`リットル中に含まれる亜鉛の平均値は73・lデシリットルで、基準値(110〜65マイクログラム)の平均値87・5マイクログラムを下回っていた。調査にかかわった倉澤隆平医師は「高齢者の場合、食事からの摂取不足に加え、亜鉛の吸収を阻害したり体外に排出したりする作用がある薬の長期服用の影響などが考えられる」と指摘する。

亜鉛欠乏に対しては亜鉛を含んだ胃潰瘍の治療薬が使われている。ただ、「適応外」を理由に保険診療が認められない場合もあると言われ、現在、別の製薬会社が治療薬の開発を進めている。(出河雅彦)


(出典:朝日新聞、2017/03/25)

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