【妊娠中の食事と薬 胎児への影響を考え注意を】

妊娠中の女性は病原体から身を守る免疫力が普段より低く、食中毒にかかりやすくなります。「異物」といえる胎児を 攻撃しないため、と考えられています。食事のほか、胎盤を通して胎児に届く薬の使い方にも注意が必要です。

食事で気を付けたいのがトキソプラズマ症とリステリア菌の食中毒だ。

トキソプラズマは、豚や鶏など加熱の不十分な肉を食べることで感染し、胎児の脳や目などに障害が出る「先天性トキ ソプラズマ症」を発症することがある。

リステリア菌に感染すると、流産などにつながる恐れがある。4度以下の低温や12%食塩濃度でも生きられるため、加熱していないチーズや生ハム、スモークサーモンなどは避けよう。

市販薬を使う場合でも、医師や薬剤師へ相談することが重要だ。身近な市販薬で胎児への毒性が知られているのが一部 の消炎鎮痛薬。「ロキソプロフェン」や「イブプロフェン」「アスピリン」という成分の飲み薬は、妊娠28週以降に使う と胎児に心不全などを起こす恐れがある。医師が処方する「ケトプロフェン」の外用薬は、同様の影響で2014年に妊娠後期の使用が原則禁止された。これらの成分が入った塗り薬や貼り薬も、妊娠後期は避けたほうが良いという。

市販の便秘薬にも子宮を収縮させるなどの副作用が心配されるものがある。

国立成育医療研究センター(東京都)にある「妊娠と薬情報センター」の村島温子センター長は、「市販薬が胎児に形態異常を撃」す心配はまずないが、時期によって胎児の健康に影響するものがある。基本的には飲まないほうが良い。妊 娠前に処方されたり家族がもらったりした薬も使わないで」と話す。

逆に、花粉症なのに、使うべき抗アレルギー薬に不安を感じてやめ、食事がとれないほど症状が悪化してしまう妊婦も いる。

妊娠と薬情報センターでは薬の使用について相談を受け付けている。相談内容に応じて電話やかかりつけ医、全国38カ 所の拠点病院の外来のいずれかで説明が聞ける。(福宮智代)



(出典:朝日新聞、2017/02/04)

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