【救急受診ガイド 「救急車呼ぶべき?」ネットで助言】
自分や家族の具合が悪いときやけがをしたとき、今すぐ病院に行くべきか迷うことがあります。そんなとき、スマートフォンやパソコンで参考になる情報を提供するシステムが広がり始めています。
システムは「救急受診ガイド」。消防庁が2013年度に作った。実際の症状や年代などを尋ねるガイドに沿って進むと、「今すぐ救急車を呼ぶべき」「翌日でもよいので病院へ」などと判定してくれる。最近はパソコンやスマホを使い、ウェブ上で症状なぜの項目を選ぶと、自動的に結果を出してくれるシステムが始まっている。
試しに横浜市が開設したサイトを使ってみた。以前に息子が「おなかが痛い」と言ったときの症状を入れていくと、「翌日の受診でかまわない」という判定と「内科系・外科系を受診するように」という指示を出してくれた。
「適正利用が呼びかけられ、救急車の使用をためらう人もいるが、医師でない人に『適正』かどうかの判断は難しい。それを助けるのがこの仕組みです」。日本臨床救急医学会で緊急度判定体系のあり方に関する検討委員長を務める森村尚登・東京大教授(救急医学)はそう話す。
たとえば、指先を切断した場合、命の危険は低くても、すぐに治療すれば、治り具合やその後の生括が大きく変わる。「症状が重い、軽いではなく、緊急度の高さに応じた治療を受けるための支えにして欲しい」と呼びかける。
消防庁によると、ネット上でのガイドの提供は、昨年9月で、横浜市や神戸市など九つの消防が行っていた。ネットを確認すると、他にも数件の自治体や消防組合が始めていた。緊急度は住む地域で変わるわけではないので、県外のガイドでも受診の判断材料になる。
ネットで他地域からでも見られるだけではなく、いつでも見られることもメリットだ。消防庁の担当者は「子どもや持病のある家族がいる人などは、どういう症状の緊急度が高いのか知識を得たり、事前に使い方を学んだりして活用して欲しい」と話す。(小坪遊)
(出典:朝日新聞、2016/11/05)
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