【園芸 日々の作業が継続的な運動に】

屋外の風が心地よい秋。スポーツに挑戦する人も多いですが、継続は意外と難しいもの。水やりといった日々の作業が運動になり、草花が成長していく様子を楽しめる園芸を始めてみるのはいかがでしょうか。

園芸は古くから、病気の治療やリハビリテーションに効果的とされてきた。千葉大園芸学部の岩崎寛准教授(環境健康学)によると、アメリカでは帰還兵のメンタルケアに取り入れることで、薬だけの治療よりも社会復帰できる例が増えた。ガーデニングの歴史が深いヨーロッパでは、障害をもった人も園芸を楽しめるようにバリアフリーの庭園が当たり前に存在し、身体的なリハビリ効果につながっているという。

国内では、兵庫県が阪神・淡路大震災で植物が被災者の癒やしになった経験を踏まえ、県園芸療法士という独白の資格をつくった。今年3月時点で173人が取得し、高齢者施設などで園芸を通じた健康づくりに取り組んでいる。

科学的な証拠も出始めている。千葉大のグループが、リウマチ患者にハッカダイコンやリーフレタスを栽培してもらい、リハビリの体操と比べたところ、運動の負荷は同程度だが、ストレスの指標となる唾液中のコルチゾール濃度は園芸の方が小さくなった。

岩崎さんは「植物は世話次第で成長もしおれもする。人が『自分を必要としている』と感じることが精神的に良い影響をもたらす」と話す。作業は植え付け、水やり、間引き、鉢替えなど多岐にわたり、継続する意欲を保ちやすいという。

初心者が楽しく続けるポイントは、健康状態やレベルに応じた植物を選ぶこと。育てるのが難しい品目は避けた方が無難だが、もし枯らしてしまってもあまり気にせず、経験を次に生かすことを考えよう。

岩崎さんによると、おすすめは元々野草で丈夫なハーブ。日当たりやスペースが限られたベランダでも育てることができる。「ハーブを少しちぎってお湯に入れると香りが広がる。育てる楽しみと癒やしで一石二鳥ですよ」(野中良祐)



(出典:朝日新聞、2016/09/24)

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