【妊娠中の歯のケア 子どもの虫歯予防につながる】

妊娠中の女性は、体にさまざまな変化が表れます。口の中も例外ではなく、虫歯や歯周病になりやすい状態です。妊娠中の女性を対象にした歯科外来などで歯の健康を保つ取り組みも進んでいます。

妊娠すると体内でエストロゲンとプロゲステロンという女性ホルモンが多く分泌されるようになる。歯周病の原因になる細菌は女性ホルモンを好んで栄養とするため、口の中で増えやすくなる。歯周病が早産や低体重児出産につながるという報告もある。また、唾液の分泌が少なくなったり、つわりで気分が悪くて歯磨きがしづらくなったりすることで、虫歯ができやすくなる。

母親の口に虫歯菌があると、子どもの歯が生えてきた時期に、スキンシップをするうちに唾液で虫歯菌がうつることがある。大阪大歯学研究科の仲野和彦教授(小児歯科)は「母親の口の状態をよくすることは、子どもの虫歯予防にもつながる」と指摘する。

同大歯学部付属病院(大阪府吹田市)は、2014年10月から妊娠中の女性対象の→マタニティ歯科外来」を設けている。妊娠中の口内環境や、エックス線検査や薬の服用によるおなかの子どもへの影響について説明している。希望者には歯科検診をして、必要な治療は、原則5〜7カ月の安定期に専門の科で、おなか の子どもへの影響を考慮して受けることができる。4カ月までの妊娠初期は薬や麻酔は極力使わず、治療も応急処置にとどめる必要がある。安定期は通常の治療が可能で、一部の抗菌薬や鎮痛薬が使え、局所麻酔もできるという。

「上の子どもの世話で歯磨きがおろそかになりがちだったが、妊娠中の歯磨きの大切さを知って意識してするようになった」。昨年出産した長女(1)を妊娠中に受診した大阪府箕面市の女性(35)は、こう語る。

妊婦らを対象に歯の健康に関する講演を続けている上本町ヒルズ歯科クリニック(大阪市)の永井美也子院長は「妊娠を、妊婦だけでなく、子どもと接する家族全体が歯の健康について考えるきっかけにしてほしい」と話す。(今直也)



(出典:朝日新聞、2016/09/17)

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