【トイレ後の手洗い 自分でできる感染予防】

駅のトイレに入ったとき、丁寧に手を洗っている人もいれば、手を洗わないでさっさと出て行く人もいるのが気になっていました。病気の予防のために、手洗いをどうすればいいでしょう。

消費者庁が昨年11月、全国の16〜65歳の男女2千人を対象にした手洗いに関する意識調査結果を発表した。注目されたのは、15・4%の人がトイレ後に手を洗わないことがあるということだった。小 便のみ手を洗わない人が7・3%というだけでなく、大便・小便ともに手を洗わない人も5・1%いた。

手洗いの目的についての回答では「汚れを落とす」が89・1%に対して、「感染予防」が50・9%だった。見た目では汚れていなくても、手には見えない細菌・ウイルスなどの病原微生物が付いてい る可能性がある。同庁は「手を洗うときには病原微生物を洗い流すことを心がけましょう」と呼びかける。毎年、秋から冬にかけてノロウイルスを原因とする食中毒などが発生するが、手洗いは個人で できる大事な予防対策だ。

東京医療保健大学大学院の菅原えりさ教授(感染制御学)は「日ごろの手洗いは重要なのに、どのように手を洗ったらいいかを教えられる機会が少ないです」という。流水で手をぬらし、せっけんをつけ、手のひら、手の甲、指先、指の間、親指、手首などを洗っていく。

まずは「いま手を洗うことに意識を集中して、真剣に洗ってほしい。他のことを考えながらの手洗いが多いけど、それではおろそかになります」という。

消費者庁調査では1回の手洗い時間は「5〜10秒」が39・7%、「30秒以上」は7・2%だった。菅原さんは手指のこすり洗いに少なくとも15秒、手洗い全体で30秒を目指してほしいという。

菅原さんは病院で感染を防ぐ仕事を担う感染管理認定看護師。病院の中で「ここで手指を洗う」とルールを決めても、最初のうちは100%守られるわけではない。医師や看護師らに日々指導することで守られるようになっていくという。「日ごろの生活の中で継続することが重要です」という。(浅井文和)



(出典:朝日新聞、2016/09/10)

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