【産後女性のケア 滞在型施設心身に寄り添う】

出産後の女性が赤ちゃんと一緒に、心と体を休められる「産後ケア施設」。どんなサポートが受けられるのか、訪ねてみました。

東京都世田谷区の「武蔵野大学付属産後ケアセンター桜新町」は落ち着いた雰囲気の3階建てに個室が15室。広々としたベッドのほか、トイレやシャワー、冷蔵庫、テレビなどが一通りそろう。

助産師が24時間常駐。産後4カ月未満の母親と赤ちゃんが宿泊か日帰りで利用する。食事中は赤ちゃんを預かってもらい、母親同士の交流も生まれる。母乳の相談や臨床心理士への相談、別料金でエステが受けられる。授乳、沐浴やおむつ香え、あやし方の助言も受けられる。

「出産後の女性は心身ともに変化が激しい」と、助産師の萩原玲子センター長は話す。ホルモンバランスの急激な変化と共に、子宮や産道などの回復過程でトラブルが生じる場合が多い。産褥(さんじょく)期と言われる産後6〜8週間、特に産後1カ月未満は負担が大きいとされる。「産後うつ」などのリスクもある。

一方、高齢出産の増加で祖父母も高齢で里帰りできないなど、周囲のサポートを受けづらい人も増えている。世田谷区の場合、出生数7968人(2014年度)の4割超が35歳以上の高齢出産だ。

産後ケア施設は、そうした母親を見守る。萩原さんは「子育ての時間はお母さん育ちの時間。ゆっくりお母さんになってください」とアドバイスする。

病院や助産院などが運営する産後ケア施設は増加傾向だが、1泊で数万円かかるところが多い。同センターも通常1日3万2900円。1泊2日5食付きで6万5800円かかるが、条件を満たした区民なら、区の補助で1割負担になる。

政府はこうした施設を含めた産後ケア事業を少子化対策に掲げ、補助を始めている。東邦大の福島富士子教授(看護学)は「産後1年程度は、助産師らの訪問やヘルパー、専門の研修を受けたNPOや子育て経験者も含め、母親への幅広いサポートが必要」と話す。住んでいる自治体で受けられる支援は、自治体の窓口で相談できる。(伊藤綾)



(出典:朝日新聞、2016/05/28)

戻る