【音楽に合わせて無理せず運動を 好きな曲で気持ちよく】

健康を維持するために運動を始めたものの、なかなか長続きしない、という人も多いのではないでしょうか。少しでも楽しく運動するために、音楽を流してみませんか。

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リズミカルな音楽に合わせ、腕を振りながら足踏み。ゆったりした曲でストレッチ。簡単な振り付けをして懐かしい曲を歌う──。

有隣堂ミュージックサロン(横浜市戸塚区)のスタジオ。50代〜80代の女性10人が音楽に合わせ運動をしていた。全国で音楽教室を開くヤマハのプログラム「健康と音楽」だ。軽い運動を1時間すると、心地よい負荷がかかり、じわりと汗がにじんでくる。

最年長の鈴木悦子さん(83)は、通い始めて5年。あまり歩かなくなり、足腰の衰えを心配した娘の誘いで参加した。

鈴木さんは「音楽があるとただ運動するより楽しいの」と話す。月3回のプログラムを続け、70代の頃と変わらない休力を維持できているという。

音楽と運動を組み合わせることで、認知機能の改善にも効果があるという研究もある。

三重大学とヤマハ音楽振興会は2011〜12年、三重県御浜(みはま)町と同県紀宝(きほう)町の65歳以上の人を対象に、同様の運動を週1回程度してもらうプロジェクトをした。

プロジェクトが終わった後に、記憶力や計算力などを調べるテストをすると、始める前に比べ点数が上がっていた。同大の佐藤正之准教授は「音楽のリズムを分析し、運動のテンポを合わせる。この二つを同時にすることで、認知機能改善の訓練になったのではないか」と話す。また、アンケートをすると日頃から運動を心がけるようになった人もいたという。

自宅でもできる運動はあるのか。ヤマハウェルネスプログラム「健康と音楽」講師の瀬戸清美さんは、つまさき立ちと、かかと立ちを交互にするふくらはぎの筋肉を鍛えるトレーニングや、太ももの裏を伸ばすストレッチなどを勧める。伸び縮みさせる筋肉を意識しながら「自然な呼吸を心がける。

流す音楽は「好きな曲なら、なんでもいい」。気持ちよく運動できることが最も大切だ。

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筋肉を鍛えるときは、リズムに乗り、マーチのような元気の出る曲。ストレッチをするときは、リラックスできるような曲がおすすめだという。朝、テレビドラマの曲を聴きながら、運動するだけでもいいという。

トレーニングもストレッチも、回数や時間は設定しなくていい。瀬戸さんは「自分のペースで、気持ちが高揚していると感じるくらいでやめるのがちょうどいいところです」と話す。

続けるコツは「運動して調子のよくなった体を想像する」こと。けれど、頑張りすぎは禁物。調子の悪いときはやらないバ休むという勇気を持つことも大事だ。(富田洸平)

「インフォメーション」

聴きたい曲がすぐには思いつかないという人には、ラジオ体操がおすすめ。NHKのサイト(https://pid.nhk.or.jp/event/taisou/taisou.html)で放送時間が調べられる。ヤマハのウェブサ イト(http://jp.yamaha.com/music_education/otona/)では、「健康と音楽」のプログラムがある教室を検索できる。



(出典:朝日新聞、2016/03/19)

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