【救命講習受けとっさの行動に自信 救急車到着までが大事】

「心臓マッサージに人工呼吸、AED(自動体外式除細動器)の使用」。基本的な救命の用蕎は知っていても、実際に必要な状況に遭遇した時に迷わず行動できるでしょうか。市民向けに開かれている講習を受けてみました。

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1月下旬の朝9時、立川市にある東京消防庁の施設に男女約30人が集まっていた。東京消防庁から委託を受けた東京防災救急協会が開く「普通救命講習」を受ける人たちだ。

「救急車が到着するまで約8分、何もしなければばとんどの人は助かりません」。救急車に約30年乗っていたという男性指導員は講習の冒頭、応急手当ての重要性をそう強調した。

最初に心臓や呼吸が止まった人に対する救命処置の一つ「心肺蘇生」の説明を受けた。倒れている人を見つけたらまずは安全な場所かどうかを確認し、「わかりますか」と声をかけながら肩を軽くたたいて反応や、呼吸の有無を見る。心肺停止状態なら、胸骨圧迫(心臓マッサージ)と人工呼吸を始める。

人形を相手に参加者が1人ずつ実践する。自分の順番が回ってきた。「ひじをしっかり伸ばして。胸が5a沈むくらいまで」との指導員の助言に従い、両手を重ねて指を組み、回数を数えながら人形の胸を押す。思ったよりも硬い。人工呼吸は2回。人形の鼻をつまみ、胸が膨らむかを目で追いながらマウスピースを使って息を吹き込む。

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次は呼吸の確認、胸骨圧迫30回、人工呼吸2回というセットを5回線り返す。計2分ほどだが、胸を押す手の甲が途中から痛んだ。「現実だったら痛くてもやめられない」と思いながら続けた。

総務省消防庁によると、通報を受けてから救急車が現場に到着するまでにかかった時間は、2014年に全国平均で8・6分。年々、増加懐向で01年に比べ2・4分長くなっていた。また、市民が目撃した心肺停止の人は約2万5千人で、54・2%で心肺蘇生が実施された。1ヵ月後の生存率は15・4%で、心肺蘇生が実施されなかった場合に比べて1・8倍高かった。

AEDの扱い方も教わった。通常は右の鎖骨の下側と左脇の5aほど下側に1枚ずつパッドを貼る。この場所にけががある人や子どもの場合などの対処法についても説明を受けた。これならどんな状況でも迷わずAE Dを使えそうだ。さらに異物の除去や止血の方法も学んだ。

約3時間の講習を終え、3年間有効な救命技能認定証を受け取った。「いざという時、落ち着いて行動できそう」という気持ちになった。

この日はキャビンアテンダントを目指しているという女子大学生や、スキューバダイビングが趣味という40代の男性らが参加していた。総務省消防庁によると、14年は全国で約138万人が普通救命講習を受けたという。(南宏美)

「インフォメーション」

日本救急医療財団(東京都文京区)はウェブサイト(https://www.qqzaidanmap.jp/)で、全国に約27万 件あるAEDの設置場所を公開している。地図上のマークをクリックすると、AEDが設置された施設の名称や住所が表示される。キーワードや住所などによる検索もできる。サイトでは、設置場所の登録方法も案内している。



(出典:朝日新聞、2016/02/20)

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