【食物繊維、もう少しの工夫で目標値に 押し麦、有力な「助っ人」】

野菜をとるように心がけている人は多いと思います。食物繊維は、毎日どれくらいとればいいのでしょうか。

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「日本人の食事摂取基準」(2015年版)によると、食物繊維の目標量は18〜69歳が男性20c以上、女性18c以上。70歳以上は男性19c以上、女性17c以上となっている。

東京慈恵会医科大病院栄養部の管理栄養士、濱裕宣(はまひろのぶ)課長に計算してもらうと、18〜20cの食物繊維はレタス(1個300c)で5〜6個、ゴボウ(1本150c)で約2本にあたる。

目標量は生活習慣病予防のために「当面の目標とすべき摂取量」。5年ぶりの見直しで、18〜69歳は男女とも1cずつ増えた。子供は6〜17歳に限って10〜19c以上と新設された。

実は、日本人の多くは、食物繊維が足りていない。国民健康・栄養調査(13年)によれば、1日の摂取量の中央値は、20代が約11cで最も低く、30〜40代約12c、50代約14c。60代以上は15cを超えるが、20〜50代は目標量の6〜7割程度だ。

「あと5〜8c。ちょっとした工夫で目標量に手が届きます」。濱さんがすすめるのは、まず、主食でとる方法だ。茶わん一杯分(150c)の食物繊維は、白いごはん(精白米)で0・45cだが、大麦を平たく加工した押し麦を3割入れた麦ごはん、玄米ごはんなら、共に約2cで、3食で計6cになる。

納豆1パック(50c)やオクラ5本(同)の食物繊維は約3c、小さじ3杯のカットワカメ(乾燥)で約1c。献立に納豆を加え、オクラやワカメをあえ物やみそ汁、サラダにまぜる。

「押し麦は冷凍しておくと、使い勝手がいい」と濱さん。15〜20分ゆでて、ぬめりを洗い、ラップに包んで冷凍庫へ。鶏卵l個大(50c)で食物繊維は約3cという。ハンバーグやミートソースなどに交ぜたり、会社で昼食時にコンビニのサラダやスープに加えたりするといい。

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食物繊維は便秘に効くイメージがあるが、愛知県長久手市、愛知医科大消化管内科の春日井邦夫教授によると、科学的根拠を出すのは難しい。しかし「便秘解消は、食事と境則正しい生活に改めることから始まる」。

食物繊維は「水溶性」と「不溶性」がある。水溶性は腸管内で溶けて便の滑りをよくし、不溶性は水分を含んで便のかさを増やす働きがあるという。

水溶性は海藻類やオクラなどネバネバした食品、不溶性は根菜や穀類などに多く含まれるが「割合は気にせず十分な食物繊維をとれるよう、野菜や果物を積極的に食べて」と話す。食べたものと便の状態を記録しておくと、自分の体に合う食事の内容や水分量が分かりやすい。

ただし「開腹手術をした人や腸に炎症がある人は、腸閉塞を起こす危険があります。コンニャクやキノコなど不溶性食物繊維が多い食品は、主治医に相談を」と話す。(寺崎省子)

「インフォメーション」

東京慈恵会医科大病院栄養部のサイトでは、麦を使った菓子、麦ごはん・とろろ汁のレシピを紹介。「慈恵大学病院のおいしい大麦レシピ」(出版文化社、税抜き1400円)も詳しい」。慶応義塾大病院の医療・健康情報サイト「KOMPAS」の「栄養と食事」の中の食事のポイントで「食物繊維の働きと、多く含む食品」も参考になる。



(出典:朝日新聞、2016/01/30)

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