【今が旬、ダイコンを丸ごと味わう カリウム・ビタミン豊富】

おでんや煮物、サラダ、おろし、漬物……。主役にも脇役にもなるダイコンが、おいしい季節になりました。もっとも日本人になじみ深い野菜のひとつです。    □  □

ダイコンの原産地は地中海沿岸といわれるが、奈良時代の古事記にすでに「おぼね(大根)」の記述があり、中国で改良されたものが少なくとも1300年以上前に渡来したとの説が有力だ。いまや、生産量、消費量とも世界の約9割を日本が占めているという。

広く出回っている青首大根や、大きくて重い桜島大根、世界最長の守口大根、カブのような丸形の聖護院大根など、見た目も昧も違うたくさんの品種がある。

一年中店頭に並ぶが、冬の時期にはより甘みが増す。根の上部はサラダや大根おろしに、中央部は煮物に向いている。やや硬く辛みがある先端部は、漬物や炒め物、みそ汁に使う。

でんぷんを分解する「ジアスターゼ」という消化酵素が多く含まれ、胃もたれや胸焼けを防ぐ。辛み成分の「イソチオシアネート」には抗がん、抗菌作用があるとされる。

高血圧・動脈硬化を防ぐカリウムや、風邪を予防するとされるビタミンCも多い。

忘れてならないのは、捨てられることが多い葉だ。緑黄色野菜に分類され、カリウムやピタミンCのぼか、βカロテン、カルシウムなど、根よりも豊富な栄養が含まれている。

恵泉女学園大(東京都多摩市)の藤田智教授(園芸学)は「葉もぜひ、油で炒めてみそ汁に入れたり、甘辛く煮てふりかけにしたりして味わってください」と提案する。

新渡戸文化短大(東京都中野区)の小沢啓子准教授は2013年、埼玉県内に住む30〜50代の男女384人の野菜摂取状況を調査した。半数の人は1日平均「1〜2皿」で、「5〜6皿」食べるという人は15%にとどまった。

   □  □

厚生労働省は、健康を維持するために必要な成人の野菜摂取量を1日350増フ以上としており、これを下回っているのが現状だ。

小沢さんは「ダイコンは一度に食べる量が多く、日本人に不足しがちな栄養素も豊富に含まれている。上手に1本を使い切って、ふだんの食事にもう1皿ダイコン料理を加えてみてはどうでしょう」という。

ダイコンのもう一つの特徴は、水分が94・6%と他の野菜に比べて多いことだ。

女子栄養大・栄養クリニック(東京都豊島区)の蒲池桂子教授は「胃腸で消化されるまでの間、水分が体内に留まるため、体を冷やしたり温めたりするのに効果的。大根おろしなど冷たい状態のものは体を冷やし、おでんや煮物などの温かく調理したものは体を温める作用があります」と話す。(ライター・高山敦子)

[インフォメーション]

キッコーマン(http://www.kikkoman.co.jp/)のサイト「レシピ」で、ダイコンなど各種食材の調理に関 するヒントやお薦めメニューを検索できる。キユーピー(http://www.kewpie.co.jp/)のサイト「とっておきレシピ」で「定番レシピ」→「旬野菜レシピ」→「冬の野菜」と進むとダイコンの選び方や保存方法がわかる。



(出典:朝日新聞、2015/12/12)

戻る