【動物とのふれあい、治療に生かす 温かみで気持ち穏やか】

温かくてふわふわした触り心地。つぶらな瞳。動物とふれあうと心が和むという人は多いのではないでしょうか。動物から元気をもらうため、大勢の人が動物園を訪ねているようです。医療の現場でも、動物の持つ力を治療に生かす取り組みが始まっています。

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11月初旬。埼玉県東松山市にある県こども動物自然公園の動物とふれあう「なかよしコーナー」は、遠足で訪れた園児らや家族連れでにぎわっていた。

ヤギやブタは放し飼い。時間によっては、ウサギ、モルモットにもさわることができる。

家族5人で栃木県から訪れた荒川総士さん(28)は「動物の温かみを感じると穏やかな気持ちになります」と話す。

動物とふれあうコツは。同公園飼育係の西田直子さんは「まずは、動物に慣れてもらうことが大切です」と話す。触りたい動物がいたら、少し離れたところから観察。ゆっくりと近づくのがポイントだ。西田さんは「走ったり、角に追い辞めるように近づいたりすると動物は嫌がります」。エサを食べているときも避けた方がいいという。

なでるときは、背中やおしりからそっと触れる。ゆっくりとなでて、動物が慣れてきたようだったら、範囲を広げる。初めから口の近くに手を出してしまうと、かみつかれてしまうことがあるので注意が必要だ。

医療の現場でも動物を生かそうという活動が始まっている。

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病棟を1頭の犬が歩く。北里大学メディカルセンター(埼玉県北本市)では、昨年から日本盲導犬協会のPR犬「ハイク」が週に1回程度、病室やリハビリ室にいる患者のもとを訪ねている。この日は、脳腫蕩の手術を受けた女性のリハビリにハイクが参加した。椅子に座った女性にハイクが寄り添う。女性は手を伸ばしハイクの前脚を握る。普段はほとんど寝たきりの女性だが、うなずいたり、「かわいい」と話したりした。リハビリを終える際は、ハイクに両手を振った。女性の夫の松田留次さん(70)は、「ベッドに寝ているときは無表情で、話もできない。いい刺激になっているのだとのだとと感じます」と話す。

この活動は、「動物介在療法」という。患者と動物がふれあうことで、リハビリの作業効率や患者の精神的な機能の向上を目指し、医師らがその効果を評価する。入院のストレス緩和や患者の楽しみにすることを目的にふれあいをする「動物介在活動」をする病院もある。

日本臨床獣医学フォーラムは、毎秋の年次大会で市民に向け、高齢者施設や病院、学校への動物を伴った訪問(CAPP活動)などの細介をしている。市民向け講座を担当する赤坂動物病院(東京都港区)の柴内晶 子院長は「動物が医療に携わる動物介在寮法も、日本では世界的な基準で行われている。こうした活動を多くの人に知ってほしい」と話す。(富田洸平)

[インフォメーション]

日本動物園水族館協会のホームページ(http://www.jaza.jo/index.html)では、同協会に加盟している全国計151の動物園と水族館を検索できる。それぞれのホームページも紹介している。同協会の担当者は「ふれあいをしているかどうかは、それぞれの動物園のホームページを参考にしたり、問い合わせたりしてほしい」と話す。



(出典:朝日新聞、2015/12/05)

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