【道具なしで壁を登る「ボルダリング」 頭も休も使う全身運動】

ポルダリングというスポーツが人気です。自然の岩壁のほか、ホールドと呼ばれる突起を作りつけた、4bほどの高さの人工壁をロープなどの道具を使わずに登る競技。子どもから年配層まで楽しめ、頭も休も使う全身運動なのだそうです。

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  2020年の東京五輪で追加されるかもしれない5競技に選ばれた「スポーツクライミング」の一種。情報サイト「ボルログ」によると、国内の民間ジムは約400軒。過去5年で2倍強に増えた。

  文京区湯島のジム「B−PUMP東京」には、1階と2階のフロアに様々な角度の壁がある。至る所に、赤、青、紫など色とりどりで、形や大きさもまちまちなホールドが取り付けられ、ちょっとしたアートのようだ。同じ色のホトルドだけに手や足をかけながら、天井近くにある、「ゴール」の表示が付いたホールドを目指す。ゴールを両手で触れれば「完登」だ。

  一見、適当にくっつけられたようなホールドだが、じつは難易度を考慮して綿密に設計された課題になっている。色は難易度を表す。同ジムではもっとも易しいのが柴で、最高難度は若草色と決められている。同じ色でも、握りやすい形もあれば、指を引っかけるのがやっとの薄っペらいものもある。ジャンプしないと届かないぼど離してつけられたホールドもある。左石の手足をどう使うかは、基本的には登る人の自由だ。

  同ジムスタッフで、現在世界ランキング7位の藤井快(こころ)さん(22)は、登り始める前によく壁を見て、どう登っていくか戦略を立てることが大事だと話す。「課題を設定した人の狙いを想像する。ワナが仕掛けられていることもある。とても創造的なスポーツです」

  ジムには60代後半の利用者もいる。初めて会った人とも、課題をどう攻めるかを自然と助言し合うようになり、世代を超えた交流も生まれるそうだ。

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  明治大学は09年から体育館にクライミングウォールがある。文学部1年は全員、夏休み前に体育で挑戦する。最初は歯がたなかった課題も、休の向きやホールドの使い方を工夫し、他の学生の登る様子を観察して話し合い、繰り返し挑戦するうちに登れるようになるという。

  同学部教授で、大学スポーツクライミング協会会長の水村信二さん(51)は「完登の達成感は、自己効力感を高める」と話す。実行できると自分に自信を持つことを、心理学で自己効力感というそうだ。

  ただ、回数をこなすぼど上達できるとはいえ、競技者を目指すのでない限りは、週2〜3日が限度だ。

  水村さんは「課題が難しくなるほど、指や前腕の筋や厳に負担がかかる。ケガや障害の危険もあるので、特にお子さんは気をつけてほしい」と注意を呼びかけている。(冨岡史穂)

  [インフォメーション]

  じつは日本は強豪国で、世界大会の優勝選手も多い。国内でも、世界レベルの選手の活躍を観戦できる。大会情報は日本山岳協会のサイト(http://www.jma-sangaku.or.jp/games/)が詳しい。公設の競技施設も紹介されている。民間ジムを探すなら、ボルログ(http://bouldering-log.com/)が便利だ。
 


(出典:朝日新聞、2015/11/28)

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