【手軽に炭水化物を補給 飲むご飯「ライスミルク」の作り方】

お米を使った飲み物「ライスミルク」を知っていますか。豆乳に続いて「第3のミルク」とも呼ばれ、食品メーカーも開発に力を入れています。自宅でできるライスミルクのつくり方やアレンジのコツを聞きました。

   □  □

ライスミルクは米に水を加えて液化したものをいう。「ミルク」といっても、牛乳などの乳製品は入っていない。

米を粉砕する技術を研究し、ライスミルクの商品開発にも携わる筑波大生命環境系の北村豊教授によると、ライスミルクは作り方によって大きく3種類に分けられる。

一つは生の米を水につけてからミキサーで細かく砕く「生米風味」、二つ目は炊いたご飯に水を加える「ご飯風味」、三つ目は酵素などででんぷんをブドウ糖に分解して甘みを引き立たせる「甘酒風味」だ。

北村さんは「ライスミルクは言わば『飲むご飯』。材料の米を玄米にすれば、炭水化物だけでなく、ビタミンも取れる飲み物になります」と言う。

海外では、乳製品や大豆にアレルギーがある人が、牛乳の代わりにライスミルクを使うことが多いという。

自宅で簡単にできる「ご飯風味」のライスミルクの作り方を、栄養士で料理研究家の梅原けいさんに教えてもらった。

基本の材料はご飯60c、水300_リットル、塩ひとつまみ。お好みではちみつ小さじ2を加えてもいい。材料をミキサーに入れてまぜれば完成だ。「夕食で残ったご飯をミキサーに入れるだけで、炭水化物が取れるので、エネルギー源になります」と梅原さん。ただ、いたみやすいので、作ったらすぐに使い切ったほうがいい。

さっそく飲んでみると、さらっとしている。普段、牛乳を飲み慣れているせいか、ややあっさりしていると感じた。

   □  □

栄養素を牛乳と比べると、ライスミルクは炭水化物が取れる一方、脂質は低く抑えられる。ただ、牛乳のようにたんばく質やカルシウムは豊富ではない。

女子栄養大の三浦理代教授は「米のでんぷんを飲んで体内でブドウ糖になると、脳のエネルギー源になるので、朝に飲むのもいいでしょう」という。

梅原さんがアレンジしてくれたのは、植物性たんばく質を含むきなことバナナを加えたスムージーだ。きなこの香りでご飯のにおいが消え、デザート感覚で朝に必要な栄養が取れる。

米の甘みが生かせるので、コーンスープやみそ汁、カレーにも合うそうだ。

人気の高まりを受けて、大手食品会社も発売を始めた。キッコーマンは5月、「玄米でつくったライスミルク」を発売。全国農業協同組合連合会(JA全農)も10月に「国産米使用お米のミルク」を出した。どちらも米のでんぷんを糖化させているので、砂糖を使っていないのに甘酒のような甘みがあって飲みやすい。(宮島祐美)

[インフォメーション]

北村さんが監修した「おうちで作る生ライスミルクのカフェレシピ」(宝島社)は、生米を使ったライスミルクのレシピを紹介。「はじめてのライスミルク」(大久保朱夏著、自由国民社)は、レトルトご飯や米粉、煎った米からライスミルクを作る方法を掲載する。スープやスムージー、プリンなどのアレンジも 豊富だ。




(出典:朝日新聞、2015/11/21)

戻る