【介護の難題、尿の臭いを解決する こまめに早めに対処を】

高齢になったり介護が必要になったりすると、尿漏れやトイレでの尿の飛び散りが多くなり、どうしても臭いがします。介護を受ける人も介護する人も、気になることですが、解決しにくいのが現状です。

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首都圏に住む女性(53)は2年ほど前、病気の父(78)と、父を介護している母(78)が住む家の臭いが気になるようになった。そのころから、父は体が思うように動かず寝ている時間が長くなり、トイレでの尿の飛び散りや漏れが増えていた。

女性は近くに住んで実家に通うが「外から家に入ると臭いがわかりました。母は臭いに慣れて、鈍くなっていたようです」。母は見えにくいためか、トイレの飛び散りが拭ききれていないこともあった。

こうした臭いの悩みは在宅介護の家族の多くが持つ。家事代行業「ベアーズ」専務の高橋ゆきさんは、「介護は臭いの問題から始まる」と言う。高橋さん自身も母を介護しているが、掃除のプロでも、当初は臭いに戸惑った。薬を飲んだり点滴をしたりしていると特に強い臭いになりがちだ。通常の掃除や洗濯では防げないようだ。高橋さんに臭いを防ぐコツを聞いた。

換気をまめにする。トイレで尿が飛び散った床や壁はこまめに掃除。寝具や衣類も早めに洗濯する──のが基本。特にトイレは工夫が必要で、可能なら便うたびにちょこっとでいいので掃除する。洋式の台と床の境目はたまりやすいので丁寧に。水分のあるシートやぞうきんで拭いた後、湿り気を残さない。マットやスリッパも臭いが付きやすいのでこまめに洗濯する。

「こまめに」「早めに」というのは、時間がたつと臭いが強くなり、色もついて不快感が増してしまうからという。花王(本社・東京)によると、尿は、時間がたつと菌がつくる分解酵素が、尿臭が発生する前の物質を分解し臭いが発生する。

部屋にこもったり洗濯しても落ちなかったりする尿臭用に、専門の消臭剤や洗剤もある。

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花王は、臭い発生の原因になる分解酵素の働きを抑える成分が入った洗剤や消臭剤を製造、販売している。ピジョン(本社・東京)は、便などに含まれる臭い成分を良い香りに変化させる消臭スプレーや、部屋にかけておくと空気の尿臭などを減らす薄いシートなどを製造、販売している。

介護の臭いは気持ちの負担につながるが、高橋さんは「臭い予防の掃除や洗濯を習慣にして、明るく穏やかに暮らせるようにできれば」。冒頭の女性は、臭いに気づいたとき、母にどう伝えるか悩んだが、親戚などもよく出入りするため思い切つて言い、以降、母と一緒に対処している。女性は「どういう方法で周囲の人に伝えるかは、それぞれのケースで違うと思う。介護を支援するケアマネジャーに相談するのもいい」。(神田明美)

[インフォメーション]

介護の臭いを消す専用商品は、花王の「消臭ストロング」シリーズの消臭剤や洗剤、ピジョンの消臭剤「香り革命」「お部屋の消臭シート」などがある。それぞれの会社のホームページで、商品について説明している。

ドラッグストアなどで、介護用品売り場に置いていることが多い。通信販売でも入手できる。




(出典:朝日新聞、2015/11/07)

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