【足の乾燥・かかとのガサガサを防ぐ 指や爪もきちんとケア】

秋から冬にかけて、足の裏が乾燥し、かかとがガサガサになって困るという人もいます。どんな事入れをすればよいのか、専門家に聞きました。

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皮膚は外から力がかかると厚くなる。足の裏の皮膚は、もともと他の部分の皮膚より厚いうえに、長時間立ったり、合わない靴で圧迫を受けたりすると、いっそう厚くなる。休重を支え、歩く時に力がかかるかかとは、とくに皮膚が厚くなる。

「皮膚が厚くなると、天然保湿成分が行き渡らなくなり、乾燥しやすくなる」と埼玉県済生会川口総合病院の高山かおる皮膚科主任部長は話す。

厚くなって乾燥した皮膚を放っておくと、亀裂が入ることもある。糖尿病で足の血流が悪くなっている人の場合、亀裂から細菌に感染しても傷に気づきにくく、組織が死んでしまう壊疽に進行することすらあるので、注意が必要だという。

亀裂が入る状態を避けるには、日頃のケアが必要だ。

「顔はちゃんと手入れしているのに、足はほったらかしという人は多い。毎日、体を支えてくれる足をもっと大切にして」と高山さん。

ケアの方法を東京医科歯科大医学部付属病院フットケア外来の本林麻紀子看護師に聞くと、意外な答えが返ってきた。

「足をきちんと洗いましょう。清潔に保つことが大切です」。せっけんを泡立て、細めで柔らかめの歯ブラシを使い、爪と指の間の溝をやさしく洗い、たまったあかを落とす。異常がないか確かめながら、丁寧 に指の間やかかともよく洗う。

注意することば、せっけんが残らないように、しつかりと洗い流すことだという。タオルで指の間も1本ずつふきとってから、ハンドクリームやかかとクリームなどを塗って保湿する。爪にも塗る。クリームを塗る時に、足先から上になでるようにすると、リンパや血液の流れもよくなる。足の疲れをとり、むくみ防止にもなる。

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お風呂でぬれた足を軽石でこすると、けずりすぎになりがちだ。乾いた足に、へら型の道具を使い、平らな面でなでる程度にする。「けずりすぎに注意。ちょっとだけすべすべしたらやめる。頻度も2週間に1回程度まで」と本林さん。

足の裏がゴムボールのようにしなやかだと、足裏全体に力がかかり、一部だけ皮膚が厚くなることもない。ゴルフボールを足の裏でころころ回したり、指と足裏でつまんで持ち上げたりしてみる。グーチョキパーを作るつもりで足の指を広げたり曲げたりするのもよい。

部分的に過剰な力がかかり、皮膚が厚くならないようにするには、靴の中で足が動かないようにする。本林さんは、足の甲をしっかり包むひも靴を勧める。ひもは先端だけでなく、全体的にしっかりしばる。 正しい姿勢で歩くことも大切だ。(瀬川茂子)

[インフォメーシヨン]

100歳まで自分の足で歩ける社会を作ろうと、医療、看護、フットケア業界などの関係者が発足させた「足育研究会」のウェブサイト(http://www.sokuiku.jp)は、足の健康にまつわるさまざまな情報を紹介している。運動不足や介護予防のために足を鍛えるダンス「あしよねバイバイダンス」の動画などもある。




(出典:朝日新聞、2015/10/24)

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