【気になる口臭、「舌みがき」を体験 段階的検査で原因探す】

朝起きると口の中がねばついて不快だ。30代に入ってからそんな朝が増えた。恐る恐る自分が吐いた息をかいでみると、かすかに臭う。不安になって口臭外来を訪ねた。

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9月下旬の午後、鶴見大学歯学部付属病院(横浜市)。口臭外来を担当する歯科医師の中川洋一さんが迎えてくれた。

口臭は起床直後が最も強い。寝ている間は唾液の分泌が減って、口の中の細菌が増えるからだ。起床後に食事や歯磨きをせずに病院に来て検査を受けた方がいいが、今回は昼食後に歯を磨かない状態で検査を受けた。

この検査では、口臭の主な原因になる3種類の物質の値がわかるという。まずは小さな注射器を口にくわえて自分の息を吸い取ってもらう。その息を測定器に注入して8分後、ノートパソコンの画面に数字が表れた。

「卵が腐ったような臭い」と表現される硫化水素の値は、「17」。人間の鼻で臭いを感じられる境界値の「l12」を大きく下回っていた。野菜が腐ったような臭いというメチルメルカブタンは「14」で、境界値の 半分弱だった。生ごみのような臭いというジメチルサルファイドは「5」で、境界値の「8」とあまり差がなかった。

検査は続く。次はふだん通りに自分で歯を磨いた後、再び測定。硫化水素やメチルメルカブタンはばぼ半減し、ジメチルサルファイドはゼロになった。

今度は中川さんに舌を見てもらった。白っぽいものが付着していた。「舌苔」(ぜったい)と呼ばれ、は がれた粘膜や食べかすなどの汚れがたまったものだ。中川さんが水でぬらしたガーゼを指に巻き、奥から手前へ舌苔を拭き取ってくれた。3回目の検査ではいずれの値もゼロになった。「段階的に検査することで口臭の原因がわかる」と中川さん。

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口臭にはいくつかのタイプがある。生理的な口臭は起床時や空腹時、加齢のほか、ホルモンの変化によって起こる。ニンニクやアルコールなどの食品による口臭は、時間とともに減る。病的な口臭は、歯周病など歯や口の中の病気が原因の場合と、糖尿病、腎臓や肝臓などの全身の病気による場合がある。実際には口臭がないのに本人は口臭があると感じる場合は、心因性とされる。

ライオン歯科衛生研究所東京デンタルクリニック(東京都品川区)によると、口臭を気にして来院する患者は40代以上が特に多い。院長の真木吉信・東京歯科大教授は「家族に言われた人がほとんど」と話す。

真木さんは口臭を防ぐケアとして歯垢をとる重要性を呼びかける。特殊な器具で歯を清掃するPMTCは自費診寮だが、保険診療での清掃よりも口臭を抑えることが調査で明らかになったという。「3、4カ月に1度 はPMTCを受け、ふだんは自宅でデンタルフロスを使って歯垢をとってほしい」と話している。(南宏美)

[インフォメーション]

ライオンが2014年、インターネット調査で男性600人と女性1600人に「口臭を気にするか」を尋ねたところ、男女いずれも計8割弱が「非常に気にしている」「気にしている」と回答。ライオンが運営するウェブサイト(https://lidea.today/)では、口臭をはじめ、歯と口の健康に関する情報が掲載されている。




(出典:朝日新聞、2015/10/17)

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