【「着圧衣類」で運動後の疲労が軽く 強すぎる圧は逆効果も】

スポーツ時に「着圧衣類」(コンプレッションウェア)を身につける人が増えています。ぴったりした生地が足や腕を適度に圧迫することで、疲労軽減などが期待されています。ただ、その効果は使い方次第のようです。

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主な着圧衣類は、血の巡りが悪い末端側に向けて足や腕を段階的に強く圧迫する設計になっている。「静脈に圧力をかけて血液が心臓に戻りやすくし、血液の循環を促して疲労を和らげる」「炎症の原因になりうる運動中の筋肉の余計な振動を抑える」などと紹介される。

どれほど効果があるのか、国内外の研究者が検証している。注目されているのは運動後の着用だ。

立命館大の後藤一成准教授(トレーニング科学)は、筋肉トレーニングの後に上下の着圧衣類を着たときと普段着を着たときの効果を比べ、昨年論文にまとめた。男性9人にそれぞれ1カ月あけて両方試してもら い、筋トレ後24時間の体の変化を調べると、着圧衣類を着た方が筋肉痛や疲労が明らかに軽く、筋力の回復も速かった。

「運動した筋肉では、痛みを引き起こす炎症物質が睡眠中に増えてくる。持続的に筋肉を圧迫して血流を促すことで、こうした物質の蓄積を防いでいる可能性がある」と後藤さん。

一方、運動中に着たときの効果は、研究によって評価が分かれている。後藤さんは圧力のばらつきと運動の種類が理由だとみる。足の太さは人によって違い、同一サイズでも筋肉に加わる圧力が異な冬着庄を統一すると、運動の種類によっては、疲労が軽くなるなどの結果がでているという。

ただ、「短時間の運動や筋肉痛の原因になる筋肉の損傷が少ない運動では効果が少ない」とも指摘する。逆に連日の激しいトレーニング、登山、マラソン、ジャンプする運動、介護などの立ち仕事は、筋肉が損傷しやすく、軽減効果が表れやすいという。

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目的や使う筋肉によって様々な商品が売られ、着圧の強さもメーカーや商品ごとに特徴がある。姿勢の矯正や筋肉のサポートには、別のタイプの高機能タイツもある。京都市のスポーツ館ミツハシ京都鳥丸御地店の中島恵さんは「用途や着用時間を聞いた上で着心地で選んでもらいます」。効果を期待するには、筋肉に適度な圧力がかかるサイズ選びが重要だ。強すぎると逆効果になりかねない。

身長や体重などを元にしたサイズが商品のパッケージやメーカーのホームページに載っているが、「あぐまで目安」とオースストラリアのブランド「2]U」を輸入販売するフォワード・アパレル・カンパニーの菅沼俊介さん。「初めて着る人は圧迫が強く感じやすいこともある。動いた時に痛みが出ないかなど、試着して選んでぼしい」と呼びかける。(阿部彰芳)

[インフォメーション]

スポーツ用以外にもストッキングや下着で「着圧」や「加圧」をうたう商品は多い。健康被害などのトラブルも起きており、国民生活センターの報告では2005年4月〜11年1月に102件の相談があった。86%が通信 販売で購入し、商品別ではスパッツが約半数。体に異常を感じたらすぐに使用をやめ、正しい使い方を心がけたい。




(出典:朝日新聞、2015/10/03)

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