【秋まで危険、ハチから身を守るには 2度目の刺されに注意】

ハチは「国内で最も危険な生物」といえそうです。厚生労働省の人口動態調査によると、2013年にハチに刺されて亡くなった人は24人。クマなどの哺乳類によるけがで亡くなった11人を大きく上回っています。ハチから身を守る方法を専門家に聞きました。

   □  □

ハチの毒針は産卵管が変化したもので、メス特有のもの。特にスズメバチとアシナガバチは攻撃性があり要注意だ。

刺されやすい時期は8月をピークに秋ごろまで続く。森林総合研究所の牧野俊一・北海道支所長によると、巣は夏から秋にかけて働きバチが増え、巣を拡大しながら、幼虫の餌を運び、かつ巣を守る。スズメバチの巣は大きいと長さが50aにもなり、大きい巣ぼど攻撃性も高い傾向があり危険だという。

外敵が巣に近づくと、スズメバチはあごをかみ合わせ「カチカチ」と音を立てたり、周辺を飛び回ったりして肇告する。その際は、素早い動きをせず、後ずさりするように離れることが重要だという。

だが、茂みや樹洞などの巣を気づかぬうちに揺らしたり踏んだりすると、警告なしの攻撃を受ける。牧野さんは「そのときは一目散に遠くへ逃げて」と話す。追いかけてくるのは最大でも80b程度だという。

確かな統計はないが、ハチに刺される人は年間数万人はいるとされ、そのうち、20人前後が亡くなっている。

独協医大の平田博国講師(呼吸器・アレルギー内科)によると、亡くなる原因は呼吸困難や意識障害などを伴う重いショック症状「アナフィラキシーショック」というものだ。

その原因は二つ。一度刺された人の体内にハチ毒に対する抗体ができ、2度目に刺されたときに過剰なアレルギー反応が出るもの。もう一つは、体質に関係なく、一度に何十匹に刺され、大量の毒によるものだ。症状は、すぐに血圧低下が起こり、数分後に意識がなくなり、30分以内に死に至る例が多いそうだ。

   □  □

刺されて冷や汗や震えなどの意識障害の前兆症状が出たら、「エビペン」という注射薬を打つと効果的だが、事前に医療機関での処方が必要となる。刺されたことがあり、ハチと接しやすい職業(林業、建設業、ゴルフ場従業員、農業、養蜂業など)は常備が望ましいという。

エビペンがなく刺された場合は、安全な場所に移動して座り、30分以上安静にすることだ。携帯電話を持つなどして症状が出た場合にも備える。平田さんによると、1時間以上経てば危険性は少なくなるという。

ハチ毒の抗体は通常、刺されてから1〜2週間で作られる。徐々に弱まるが、中には数十年も持ち続ける人もいる。一度刺されて心配な人は、アレルギー内科や皮膚科などを受診し、血液検査で抗体を調べることも可能だという。(石塚広志)

[インフォメーション]

自宅などで巣を見つけたら、まずは住まいの市区町村に相談を。駆除対応のほか、専門業者の紹介、防護服を貸してくれるところもある。

製薬企業ファイザーのウェブサイト「アナフィラキシーってなあに.jp」(http://allergy72.jp/)では、ハチ毒アレルギーの解説のほか、診察できる全国の医療機関を調べることができる。




(出典:朝日新聞、2015/09/19)

戻る