【カバンを正しく持って肩こり防止 あごを引き胸を張る】

パソコンにカメラ、資料や参考書─。カバンをパンパンにして歩き回る記者生活。重い荷物を持ち続けているせいか、「肩、すごい凝ってますね」とマッサージ店で良く言われるようになりました。負担が少ない「カバンの正しい持ち方」はあるのでしょうか。専門家にきいてみました。

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肩こりの遠因は、背骨と背骨の間にあるクッション役の椎間板が、首の姿勢の悪さによってゆがむことだといわれる。ゆがんだ椎間板を保護しようとして、首から背中にかけて広がる僧帽筋などの筋肉が過度に緊張し、肩こりにつながる。

「お茶の水整形外科」(東京都千代田区)の胴治(どうや)英雄院長は、「カバンの持ち方によって肩こりの悪化につながることもある」と話す。

左石のバランスの不均等が原因と思われがちだが、実は前後方向の姿勢の方が大事なのだという。

例えば、両肩にかけるリユツクサック型のカバンを利用する人でも、肩こりになる場合がある。重い荷物を背負って後ろに引っ張られ、バランスをとろうとして首がどうしても前に出た姿勢になるからだという。

「もっと肩こりの悪化につながりやすいのは、ショルダーバッグ型」と銅冶院長。カバンが肩から落ちないように左右のバランスをとろうとする動きに気をとられ、知らず知らずのうちに「首が前に出た姿勢」になることが多い。「大抵の人は、顔が体より前に出ているのです」

どの型のカバンでも、あごを引き、胸を張った良い姿勢を保つことが重要なのだ。

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一方、肩こりにつながりにくいのは、手に持つ型のカバン。腕で荷重をコントロール出来るのが理由という。

ただ、肩から腕がだらんと下がる持ち方だと、荷重が直接、背骨にかかってしまう。肩と腕に力を入れ、カバンをしっかりと保持して首に良い姿勢を保つよう心がけることが大切とする。

また、肩こり外来を併設する「平沼整形外科クリニック」(東京都調布市)の平沼尚和院長は、「手持ちカバンは、親指と人さし指に力を込め、他の指は添えるだけとなるような持ち方が良い」とアドバイス。背中と肩の後ろの筋肉の負担が軽くなる、としている。

厚生労働省の2013年の国民生活基礎調査によると、自覚症状のある病気やケガのうち、女性の第1位は「肩こり」。男性でも腰痛に次ぎ第2位だった。

平沼院長によると、肩こりは、頭痛や目の奥の痛み、手先のしびれなど様々な症状を、引き起こす可能性があるという。

外来で訪れる患者の7割ほどは、治寮や生活習慣の見直しで改善できるとし、「ただの肩こり、と思わず外来に来てほしい」と話している。(山崎啓介)

[インフォメーション]

銅治院長の著書「頚椎症を自分で治す!」(主婦の友杜)は肩こりを改善する体操を説明。カバンを持つ時に首が前に出やすい人に、背筋を伸ばした姿勢からあごを引く「音引き運動」を勧める。

小林製薬の調査によると、日本人の6割が肩こりを感じている。さらに、1千万人以上が頭痛なども伴う、重い肩こりに悩んでいるという。




(出典:朝日新聞、2015/09/12)

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