【冷房で不調…「夏の冷え」こう防ぐ 運動・リラックスも大事】

東日本大震災後の節電ムードも薄まったのか、「職場に冷房が入る季節は、寒くてつらい」という人もいます。体の不調につながりかねない「夏の冷え対策」を考えてみました。

   □  □

飼育しているネズミは、冬になると体の中で熱を作る反応をせっせと起こす。実験室の温度は年中一定で、「季節」をなくしているはずなのに不思議だ──。こんな話を名古屋大学大学院医学系研究科の中村和弘教授(生理学)から聞いた。私たちの体に備わる、体温を一定に保つ仕組みの奥深さを感じる。

暑い屋外でヒトは、汗をかいたり、皮膚の血管を拡張させたりして体の奥の熱を表面から逃がす。逆に、冷房が効いた室内では、皮膚の血管を収縮させて、熱を逃がさないようにする。この反応で、手足の血流が悪くなると、冷えを感じることがある。感じることが、上着を着たり、暖かい場所に移動したりするなど、冷えないための行動を起こすきっかけとなる。

「自律神経の働きで体温が一定に保たれていますが、気温が10度も違うような屋外と室内を出たり入ったりしていると、うまく対応できず、冷えがつらいと感じることもある」と中村教授は話す。人が作りだした激しい環境変化に体がついていかないということらしい。

血液循環が悪くなりがちな高齢者、体の熱を生む筋肉が少ない女性は冷えやすいという。

対処の方法を表参道福澤クリニック(東京都)の福澤素子副院長に聞くと、「生活習慣を見直してみてください」。

ダイエットによる栄養不足が冷えの原因になる場合もある。栄養バランスを考え、できるだけ火を通した料理、しようが、ねぎ、唐辛子など体を温める食材を取ることを心がける。冷たい飲料は体を冷やすので、常温や温かい飲み物を持ち歩くようにする。

   □  □

運動不足も冷えやすさにつながる。ウォーキング、ヨガ、ピラティス、体操など日常的に取り組めるものならなんでもい い。いすに座ったまま、太ももやかかと、つま先を上げ下げする。肩に手を当てて、ひじを回転、上下に動かすなどの運動なら職場でもできる。背筋を伸ばして姿勢を正しく保ち、腹筋・背筋を鍛えよう。

冷房対策として、肌を露出せず、ストール、カーディガン、ひざかけ、靴下などの利用を。湯たんぽやカイロを使う方法もある。

ストレスも冷えにつながることがある。ぬるめの風呂に入ったり、暗くして音楽を聴いたり、白分なりにリラックスでき る方法を見つけよう。就寝直前までパソコンを見ていると、寝付きが悪くなる場合も。睡眠不足も冷えやすい体になる。

「冷えは万病のもと」ともいう。「頭痛、肩こり、月経痛、便秘など長年の悩みが、冷えをとることで改善することもありますよ」と福澤さん。(瀬川茂子)

[インフォメーション]

冷えない工夫をいろいろ試しても改善せず、日常生活に支障をきたすような状態が続く場合は、医師に相談を。漢方医は、冷えを体全体に影響する重要な症状ととらえ、体質や症状について詳しく話を聞いて、診断、対応する。日本東洋医学会のサイト(http://www.jsom.or.jo/universally/index.html)が参考になる。




(出典:朝日新聞、2015/06/27)

戻る